「全国高校野球選手権・準決勝、関東第一2-1神村学園」(21日、甲子園球場) 関東第一が初の決勝進出。1点リードの九回、中堅・飛田がこん身のバックホームでホームに突っ込んでくる走者をアウトにした。 奇跡のバックホームと称されてもおかしくな…

 「全国高校野球選手権・準決勝、関東第一2-1神村学園」(21日、甲子園球場)

 関東第一が初の決勝進出。1点リードの九回、中堅・飛田がこん身のバックホームでホームに突っ込んでくる走者をアウトにした。

 奇跡のバックホームと称されてもおかしくなかったプレーだった。2死一、二塁から代打・玉城が放った打球は二遊間を破った。飛田は猛チャージし、みじんのロスも感じさせない動きでバックホームした。

 少しでも送球がそれれば同点という状況の中、ノーバウンドで捕手のもとへストライク送球。タッチアウトの判定に甲子園は揺れた。目をギラギラさせながら興奮状態で試合後の整列に向かう飛田。関東第一ナインは興奮を隠せなかった。

 その直後に一つのドラマが生まれる。球審がゲームセットをコールすると、両チームの選手は自然と抱き合った。そして神村学園の二塁手・増田が1人泣き崩れていると、気づいた関東第一の選手が駆け寄って声をかけた。

 決勝進出を果たして興奮状態の中、周囲への気配りを忘れなかった関東第一の選手。相手を気遣う優しさがにじんだ瞬間だった。米沢監督は「最後は彼らに任せてという気持ちだった。(飛田は)すごく送球で悩んでいた時期もあった。最後、よくストライクを放ってくれたなと。彼が最後思い切ってやってくれた」と、目を細めた。

 そして「うちは守備から精いっぱいやれることをやるというのをやってきた。正直、不格好なヒットばっかりも、私の中では彼らの素晴らしいヒット。それを持ち味としてやってきた。自信持って決勝も戦いたい。あまり最後という感じがしない。まだまだ続くぐらいの気持ちで、彼らと一緒に全力でぶつかっていきたい」と決勝への思いを明かした。