金メダルを2つも手にし、五輪で大きな成功を収めたティトマス。(C)Getty Images トップアスリートのハイレベルな争いが話題を生んだパリ五輪。一方で“花の都”で実現された大会は、SNSを中心とした誹謗中傷被害が物議を醸し、プレー以外…

金メダルを2つも手にし、五輪で大きな成功を収めたティトマス。(C)Getty Images

 トップアスリートのハイレベルな争いが話題を生んだパリ五輪。一方で“花の都”で実現された大会は、SNSを中心とした誹謗中傷被害が物議を醸し、プレー以外の問題が噴出したのも事実だ。

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 大会期間中には、日本オリンピック委員会(JOC)が「侮辱や脅迫などの行き過ぎた内容に対しては、警察への通報や法的措置も検討する」と声明を発表。「心ない誹謗中傷、批判などに心を痛めるとともに不安や恐怖を感じることもある」と厳しく訴えた。

 ただ、問題の苛烈さは収まる気配はない。実際の被害の多さは数字が如実に物語る。フランスのラジオ局『RMC Sport』によれば、今大会の役員たちが独自に講じたAI機能による解析で、SNS上で合計150万件以上の投稿がフィルタリング。そのうち約9万7000通が「虐待」「差別的」と判断され、警察の調査対象になったという。

 指摘ならまだしも、人格を否定するような批判はあってはならない。その非道とも言うべきメッセージの内容には、選手たちが驚かされるものもあるという。豪ポッドキャスト番組『Fitzy & Wippa with Kate Ritchie』に出演した豪女子競泳選手のアリアーン・ティトマスは「山のように集まったDMの中には信じられないものもあった」と明かした。

 今大会で、女子400m自由形と女子800mリレーで金、女子200m自由形、同800mで銀と合計4つもメダルを獲得したティトマス。大きな成功を収めた彼女でさえも、批判の対象になっているという。

 競泳界のスタースイマーはこう告白する。

「大会が終わってSNSのアカウントにログインし直したら、まるで泡のように通知が膨れ上がったわ。その中で、いくつかのDMを見たら、本当に乱暴で、酷いものもあった。いくつかは私に『どうしてそんなことを他人に書けるの?』と思わせるものがあったわ」

 SNS隆盛の時代で、選手とコミュニケーションを取れる場も増えた。ただ、それゆえに誹謗中傷被害を抑えるのも容易ではなくなった。無論、誹謗中傷投稿は言語道断だが、現代のアスリートや組織には、そうした実態の見えない野次とどう戦うかも求められていきそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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