「全国高校野球選手権・3回戦、東海大相模8-1広陵」(16日、甲子園球場) 阪神などプロ注目の東海大相模・藤田琉生投手(3年)が広陵との3回戦に先発し、6回2安打1失点(自責0)と好投した。「朝8時のプレーボールは初めてで、立ち上がりは心…

 「全国高校野球選手権・3回戦、東海大相模8-1広陵」(16日、甲子園球場)

 阪神などプロ注目の東海大相模・藤田琉生投手(3年)が広陵との3回戦に先発し、6回2安打1失点(自責0)と好投した。「朝8時のプレーボールは初めてで、立ち上がりは心配だった」と序盤は苦しんだが、全国制覇を成し遂げた2015年以来9年ぶりとなるベスト8に進出に貢献。「うれしいです。自分らしさ、粘り強さを出せました」と大粒の汗をぬぐった身長198センチ左腕の評価は高まるばかりだ。

 “自分らしさ”をすぐに取り戻した。二回、3四死球と制球を乱すと捕逸で先制を許し、なおも1死満塁の大ピンチ。伝統校の応援ボルテージも上がり、ビッグイニングも頭をよぎる中で、ベンチから伝令がきた。

 「自分らしさを出していけって。上(半身)だけで投げず下も使って、いつも通りやれば大丈夫だから」。その言葉にはっとなった藤田。「ちょっと一人になっていたんですけど、伝令のおかげで周りが見えてきた」。表情も、闘争心に満ちたものに変わった。

 ボール球にはなかなか手を出してくれない広陵打線に真っ向勝負。最後は三振を奪い、最少失点でピンチを切り抜けた。三回以降は相手打線を寄せ付けず。余力は残していたが「あとは信頼してる投手陣に任せる」と七回からはマウンドを仲間に託した。

 2回戦・富山商戦でも7回無失点、13奪三振。2段モーションから自己最速タイ149キロをマークした。阪神の吉野スカウトが「今年になってぐっと伸びた。いい投手」と評価したようにプロの注目度も上がっている。

 9年前に現中日・小笠原を擁し、全国制覇を成し遂げた姿を見て「自分もあのマウンドで最後指を立てて、泣いて終わりたい」と憧れを抱き、東海大相模に入学。目標の日本一まであと3勝と迫った中、「いつものアグレッシブベースボールを出していければ」と視線を先に向けた。

 ◆藤田 琉生(ふじた・りゅうせい)2006年11月17日、17歳。神奈川県藤沢市出身。198センチ、92キロ。左投げ左打ち。小学1年から軟式の羽鳥ファイターズで野球を始め、羽鳥中では湘南ボーイズに所属し、3年夏に全国制覇。東海大相模では1年秋からベンチ入り。50メートル走5秒96、遠投100メートル。両親はともに身長180センチ以上の元バレーボール選手。