<全国高校野球選手権:神村学園4-3中京大中京>◇15日◇2回戦昨夏4強の神村学園(鹿児島)が強打の中京大中京(愛知)に9安打4得点で打ち勝ち、2年連続で3回戦進出を決めた。クーリングタイム10分明けに迎えた2点ビハインドの6回、一気の集中…

<全国高校野球選手権:神村学園4-3中京大中京>◇15日◇2回戦

昨夏4強の神村学園(鹿児島)が強打の中京大中京(愛知)に9安打4得点で打ち勝ち、2年連続で3回戦進出を決めた。

クーリングタイム10分明けに迎えた2点ビハインドの6回、一気の集中打で3点を奪い逆転。9回には2番入耒田(いりきだ)華月外野手(2年)が決勝ソロを放った。動作分析が専門の豊重正章コーチ(38)による打撃指導が就任3年目で実を結んでいる。

鹿児島大会全試合を8得点以上で勝ち上がり、甲子園初戦も8点を奪った驚異の「8点打線」は2回戦も健在だった。9回無死で直球をとらえた入耒田が「今までで一番の当たりだった」と声を弾ませる高校通算4本目(公式戦3本目)のビックリ右越え決勝弾が飛び出した。2点を追う6回には長短打3本を集中し打者8人の猛攻。2点を返してなお2死三塁、9番今村拓未投手(3年)の中前適時打で一気にひっくり返した。

9回に1点を返されたが、強打の相手に一歩もひるまなかった。小田大介監督(41)が「走攻守すべてにおいてかなりレベルの高い選手がそろっている。10年間交流をさせていただいて、ほんとに1度も勝ったことがなくて」という難敵に競り勝った。

豊重コーチの指導のたまものだ。22年就任から日体大大学院で学んだ動作解析を注入。「物理学とか、ボールがどう動いてね、こう動いててとかっていうところから説明して、ボールとバットをどういう風に当てていくのかっていうのを一番大事にしている」と生かした。就任3年目でチームにも浸透。新基準の低反発バットになったことで、より威力が開花したという。

効果てきめんだ。入耒田は「バットが変わり飛ばなくなって、うまく当てないといけなくなった。低く強い打球が打てるようになり結果につながった」。

「序盤は低めの変化や高めのボール球を打たされていて、ゾーンの球を打線で打ちに行けていなかった」と相手左腕に苦しんだ今村だったが、6回は「ベルト付近をしっかりスイングに行けるようになっていた」とうまく適合。6回に左翼線二塁打の7番木下夢稀捕手(3年)が「いろいろ言われてるんですけど、自分が一番大事にしているのは、胸でつぶして、下から入るんじゃなくて、ボールの上を捕まえるみたいな感じで、自分はやってます」という効果を生んでいる。

3回戦も泥臭くつなぐ打線で勝機を見いだす。【菊川光一】