「全国高校野球選手権・2回戦、石橋5-0聖和学園」(13日、甲子園球場) 2回戦4試合が行われ、創立100周年で夏初出場を決めた石橋(栃木)が甲子園初勝利を挙げた。エースで4番の入江祥太投手(3年)が投げては毎回の11奪三振で完封勝利、打…

 「全国高校野球選手権・2回戦、石橋5-0聖和学園」(13日、甲子園球場)

 2回戦4試合が行われ、創立100周年で夏初出場を決めた石橋(栃木)が甲子園初勝利を挙げた。エースで4番の入江祥太投手(3年)が投げては毎回の11奪三振で完封勝利、打っては3安打と躍動した。

 灼熱(しゃくねつ)のマウンドで汗がにじむ。「つらないでくれ…」。右ふくらはぎに痛みを感じる緊急事態も、オレンジに染まる一塁側アルプスが背中を押した。一丸でつかんだ記念の1勝。入江は爽やかに笑った。

 「自分らしい投球ができて結果的に完封で終われたので良かったです」

 ピンチでも笑顔だった。4点を先制直後の四回2死満塁。ナックルカーブでカウント1-2と追い込むと、最後は高め直球で空振り三振を奪い、ほえた。六回途中には足をつり給水。七回には2度、治療時間をもらった。「厳しい状態だったんですけど、投げ切る気持ちでした」。135球を投じ、毎回の11奪三振で完封。打席でも3安打2得点と存在感を見せた。

 友の存在が力になった。昨夏を制した慶応の小宅雅己投手と加藤右悟捕手は中学時代に所属した宇都宮ボーイズの同期。「本当に尊敬しましたし、負けられない気持ちも芽生えました」と刺激を受けた。同じ投手として小宅からは「平常心を学びました」と明かす。

 作新学院中出身だが石橋を選んだ。理由は、甲子園常連校の作新学院高を倒すため。「おもしろくないなという気持ちが正直あったので、自分が違う道を選んで甲子園へ行ってやると」。文武両道の精神にもひかれた。偏差値66と県内有数の進学校で、平日は2時間の練習時間をフル活用する。栃木大会の決勝翌日には全統模試を受け、甲子園の宿舎にも単語帳などを持ち込んだ。「勉強も野球も頑張ることが、お互いによく作用する」。志望するのは慶大だ。

 創立100周年に甲子園100周年の大会へ夏初出場。「運命的なものを感じます。同い年ということで“石橋旋風”を起こしたい」。勉強も野球も全力を注ぎ、この夏の主人公となる。

 ◇入江 祥太(いりえ・しょうた)2006年4月19日生まれ。18歳。栃木県出身。180センチ、81キロ。右投げ右打ち。小学3年から緑が丘学童野球クラブで野球を始め、作新学院中では宇都宮ボーイズでプレー。石橋では1年春からベンチ入り。50メートル走6秒5、遠投100メートル。最速141キロ。

 ◆石橋 1924年に創立の県立高校。進学率100%と県有数の進学校で、校訓は「爾(なんじ)の立てるところを深く掘れ」。昨春のセンバツに「21世紀枠」で初出場も初戦敗退。夏は初出場。所在地は栃木県下野市石橋845。