「広島10-3DeNA」(12日、マツダスタジアム) ついに出たー!!広島の中村奨成外野手(25)が1軍では約2年ぶりの打点となる適時二塁打を放った。不退転の決意で今季に臨んでいる背番号96の価値ある一打もあり、チームは25年ぶりのリーグ…

 「広島10-3DeNA」(12日、マツダスタジアム)

 ついに出たー!!広島の中村奨成外野手(25)が1軍では約2年ぶりの打点となる適時二塁打を放った。不退転の決意で今季に臨んでいる背番号96の価値ある一打もあり、チームは25年ぶりのリーグ制覇を果たした2016年8月以来の本拠地・マツダスタジアムで9連勝。貯金も再び今季最多タイの13とし、最短で20日に優勝マジックが点灯する。

 腹をくくった。焦りと気負いを取っ払って、思い切り振り抜いて捉えた打球は左翼フェンスに直撃した。中村奨が2022年6月5日・オリックス戦以来、799日ぶりの打点となる適時二塁打。塁上で拳を突き上げた背番号96が1軍の舞台でようやくスポットライトを浴びた。

 1点ビハインドを逆転した直後の2-1で迎えた2死一、三塁での2打席目。「チャンスだったので、昨日も4タコしていましたし、なんとか取り返そうっていう気持ちで打席に入りました」。初球からスイングを仕掛けると、3球目の150キロ直球を捉えて会心の一撃となった。

 1打席目も左前打を放っており、約2年ぶりの複数安打もマーク。「点数もそんななかったし、玉ちゃん(玉村)を楽に投げさせてあげたかったので打ててよかったです」と汗を拭った。

 前日の11日に今季3度目の1軍昇格を果たした。「ラストチャンス」と位置づける今季。ファームでは好成績を残せても、1軍の舞台で快音を奏でることができなかった。2軍ではできている「動→動」のスイングが1軍では「固→動」になっていた。背水の陣で戦う1年。「打たなきゃ」という焦りと気負いが身の硬直を招いていた。

 ファームでは新井良太2軍打撃コーチから1軍に昇格する度に「ヒットを打とうと思うな。今取り組んでいることができたかどうかにフォーカスしてやっていたら勝手にヒットは出るから。命までは取られないんだから」と背中を押され続けた。母校・広陵高の大先輩でもある同コーチからの教えを信じて生まれた一打。「1軍で打つために下で準備してきましたし、それが今日はいい形で出せた」と充実感をにじませた。

 この日、その広陵も夏の甲子園の初戦で熊本工に勝利。自身も7年前の17年夏に大会記録を更新する1大会6本塁打を放って同校を準優勝に導いた。聖地で戦う後輩たちの姿に、「いい刺激をもらえて打てました」と笑顔を見せた。

 これでチームは25年ぶりのリーグ制覇を果たした2016年以来の本拠地9連勝。最短で20日に優勝マジックが点灯する状況になった。「1試合1試合必死にやるだけです」と中村奨。崖っぷちからはい上がろうとする男の逆襲劇がシーズンの勝負どころで始まった。

 ◆最速20日にVマジック 広島は20日にも優勝マジックが点灯。仮に広島が13日・DeNA戦から20日・巨人戦まで6戦全勝。同時に巨人が13日・阪神戦から20日・広島戦まで6連敗、阪神が16日・中日戦から20日・ヤクルト戦まで4連敗すると優勝マジック「28」が点灯する。また、同期間に巨人が6連敗、かつ阪神が13日・巨人戦から20日・ヤクルト戦まで6連勝でも広島に「31」が点灯する。