「巨人1-0阪神」(12日、東京ドーム) 阪神は106試合目で自力優勝の可能性が消滅した。佐藤輝明内野手(25)が初回の適時失策で与えた“スミ1”が響いて、今季15度目の完封負け。首位・広島が勝ったため、球団史上初の連覇へ窮地に立たされた…

 「巨人1-0阪神」(12日、東京ドーム)

 阪神は106試合目で自力優勝の可能性が消滅した。佐藤輝明内野手(25)が初回の適時失策で与えた“スミ1”が響いて、今季15度目の完封負け。首位・広島が勝ったため、球団史上初の連覇へ窮地に立たされた。8月に入って打撃好調な4番の奮起なくして逆転Vはない。残り37試合。サトテルの意地が見たい!!

 試合後、佐藤輝は肩を落として帰路に就いた。「アウトにできなかったので、次はできるように頑張ります」。敗戦の責任を一人で背負い込むように、必死に言葉を絞り出した。確かに重たかった悪送球での1点。それでも、落ち込んではいられない。自力優勝の可能性が消滅した今こそ、サトテルの力が必要だ。

 初回2死二塁。岡本和の三塁線のゴロをスライディングしながら好捕した。すぐに立ち上がり、一塁へ送球。中途半端な位置でワンバウンドして、大山のグラブに収まらなかった。「(ワンバン送球は)迷ってはないです。しっかり投げられなかったということですね」。言い訳はしなかった。

 二走の丸が本塁に生還して、これが決勝点。打線は三塁すら踏めずに、2004年以来となる巨人戦でシーズン2度目の0-1での敗戦。伝統の一戦で“スミ1”で敗れたのは1981年5月2日以来、43年ぶりの屈辱となった。

 そんな中、佐藤輝を責める人はいなかった。「そんなことを責める理由もないし、結果がその1点だけだったってだけじゃないですか」と敗戦投手になった西勇。大山は「低く投げてくれている以上は何とかしないといけない。西さん、輝にも申し訳ない」と謝った。

 8月は打撃好調ではあるが、11試合で6失策。試合前練習では守備を重点的に行っているように見える。キャッチボールから見つめ直し、馬場内野守備走塁コーチも「練習ではうまいこと投げているけど、どうしても試合になるとね…」と悔しそう。「もう少し捕りやすいワンバウンドなら」と、さらなる向上を求めた。

 とは言え、佐藤輝に一番求められるのはバットでの貢献だ。8月はロケットスタートを切ったが、ここ3試合は無安打に終わっている。今月は41打数15安打で打率・366、4本塁打、10打点。打てば、勝てる。チームの空気を変えるためにも、東京ドームでの今季初アーチをみんなが待っている。

 首位の広島が勝ったことで自力優勝の可能性は消滅し、4ゲーム差に拡大。2020年以来、4年ぶりに東京ドームでの負け越しも決定した。ここが踏ん張りどころ。佐藤輝がうつむく姿はもう見たくない。豪快な一発を量産して、逆転優勝へ導いてくれ。

 ◆巨人戦0-1敗戦は今季2度目 巨人戦でスコア「0-1」敗戦は5月24日に続いて今季2度目。巨人戦シーズン2度の「0-1」敗戦は2004年以来、20年ぶり。さらに巨人戦初回“スミ1”敗戦は81年5月2日(後楽園)以来、43年ぶりだった。なお、今季の東京ドームでの巨人戦は3勝7敗となり、20年以来4年ぶりの負け越し決定。

 ◆自力優勝消滅… 阪神の自力優勝の可能性が消滅した。阪神は残り37試合全勝で90勝48敗5分け、勝率・652。一方、首位・広島は阪神戦残り6戦全敗でもそれ以外で勝てば91勝47敗5分け、勝率・659となり、阪神は広島を上回れない。なお、22年までの5シーズンの消滅日は18年=8月1日・87試合、19年=7月16日・86試合、20年=9月15日・73試合、21年=10月8・130試合、22年=5月31日・54試合。また、最近の自力優勝の可能性消滅から逆転優勝を果たした例は2021、22年のオリックス。