「中日1-3巨人」(11日、バンテリンドーム) 担架で運ばれる巨人・ヘルナンデスに敵味方、関係なく「エリー」コールが注がれた。騒然とするグラウンド。全力プレーの結果は「左手首骨折」と、あまりにも重い代償になった。首位争いをリードしてきた助…

 「中日1-3巨人」(11日、バンテリンドーム)

 担架で運ばれる巨人・ヘルナンデスに敵味方、関係なく「エリー」コールが注がれた。騒然とするグラウンド。全力プレーの結果は「左手首骨折」と、あまりにも重い代償になった。首位争いをリードしてきた助っ人の離脱。今季中の復帰は絶望的で勝負の終盤戦に暗雲だ。

 「俺の心も折れそう。それくらい痛いよ」。連勝を飾った試合後のベンチ裏、阿部監督の自虐が悲しく響く。悪夢のシーンは五回。中堅前方に飛んだライナー性の打球に対して、スライディング捕球を試みた際にグラブが人工芝に引っ掛かり、逆方向にひねった。そのまま交代。名古屋市内の病院で診断を受けた。

 ヘルナンデスの途中加入からチームの勢いが加速。最近は41試合連続で3番に固定され、出場56試合で打率・294、8本塁打、30打点。10日には決勝の8号アーチを放つなど、不動の中堅として活躍が続いていた。過去には球団OBの松井秀喜氏が、ヤンキース時代に同様の負傷で手術。完治に4カ月を要したことなどからも、今季中に復帰できる可能性は低い。

 代役として2年目の浅野が昇格予定。今季は開幕1軍メンバー入りも、3試合の出場で9打数無安打。4月8日に2軍落ちしたが、直近では調子を上げている。「若い選手や、他の選手にはチャンスが増える。頑張ってみんなで勝ちたいです」と指揮官。非常事態に結束力を高め、ピンチをチャンスに変えるしかない。