◆パリ五輪 第16日 ▽スポーツクライミング(10日、ルブルジェ・スポーツクライミング会場) 女子複合決勝が行われ、初出場の森秋彩(あい、20)=茨城県連盟=が2種目合計135・1点で4位だった。前回東京五輪で3位の野口啓代さんに続き、日本…

◆パリ五輪 第16日 ▽スポーツクライミング(10日、ルブルジェ・スポーツクライミング会場)

 女子複合決勝が行われ、初出場の森秋彩(あい、20)=茨城県連盟=が2種目合計135・1点で4位だった。前回東京五輪で3位の野口啓代さんに続き、日本女子2大会連続の表彰台はならなかった。野口さんは森との交流から、才能に魅了されたことを明かした。

 スポーツクライミング女子複合で21年東京五輪銅メダリストの野口啓代さん(35)が森に抱いた第一印象は「話しかけてくれた日本人の小さな女の子」。野口さんが出場していた10年W杯(ドイツ・ミュンヘン)に観客として応援しに来ていたのが小学3年生の森だった。「『おめでとうございます。ファンなんです。私もクライミングやっているんです』と言ってくれたことを覚えています。あの時は五輪選手になるって想像できなかったなあ」。

 衝撃だった。当時野口さんは海外を主戦場にしており、国内試合には多く出場していなかった。そんなとき、16年リードのジャパンカップ(青森)で森が優勝しているYouTubeが目に留まった。「めちゃめちゃ指先が強い。ホールド(突起物)を持つ、足で乗る、手の持ち方、足のかけ方。基本の技術が全て世界トップレベルです。超繊細で超丁寧なのでミスもない」と森のクライミングに魅了された。

 仲は日々、深まっている。茨城・龍ヶ崎市にある野口さんの実家は、リード、ボルダーの壁が豊富。森もよくトレーニングに来ると言い「秋彩ちゃんは、できないものはできるようになるまで登っています」と野口さん。「一見ふわふわしていて天然かなって思うんですけど、実はすごくしっかりしていて頑固です」と野口さんには意外な一面も見せている。

 パリ五輪に向けては、リファのヘアブラシと前腕ケアの器具をプレゼントした。「秋彩ちゃんは前腕の強さが武器なので、しっかり長所を生かすようなケアをして欲しいな」。まな弟子の活躍を心から願っていた。(手島 莉子)