「阪神1-5広島」(10日、京セラドーム大阪) 広島・堂林翔太内野手(32)が3安打2打点と躍動し、連日の快勝劇に貢献した。二回の好機で先制の2点適時二塁打。チームは阪神・大竹に通算10戦8敗と苦手にしていた中、見事に攻略。プリンスはスタ…

 「阪神1-5広島」(10日、京セラドーム大阪)

 広島・堂林翔太内野手(32)が3安打2打点と躍動し、連日の快勝劇に貢献した。二回の好機で先制の2点適時二塁打。チームは阪神・大竹に通算10戦8敗と苦手にしていた中、見事に攻略。プリンスはスタメンで2試合連続の3安打猛打賞。チームも2カード続けて阪神戦の勝ち越しを決めた。

 堂林は目の前の勝負に没頭していた。「無我夢中で何の球を打ったか覚えてない」と話すほど、集中力を研ぎ澄ませた。力強く振り抜いた打球は、中堅フェンスを直撃した。仲間を熱気に包んだ殊勲の一打が、引き立て役に回り続けた過去に終止符を打った。

 見せ場は最初の打席に訪れた。二回1死二、三塁のチャンス。大竹の初球を迷わず振り抜くと、滞空時間の長い飛球は近本の頭上を越えた。虎党のため息を呼び、難敵攻略の幕開けとなった2点適時二塁打。勢い良く二塁に滑り込むと、三塁ベンチに向かって左手を突き上げた。

 チームは昨年から大竹に手を焼き続けていた。通算10戦8敗、防御率0・54と苦しめられてきた。「昨年、今年とやられっぱなしなので、とにかく今日、何とかやっつけようという話だった」。赤ヘル打線の意地を凝縮させ、選手会長が見事に突破口を切り開いた。

 これだけでは終わらず、七回は1死一塁からしぶとく中前に運んだ。好機を広げ、その後の追加点をアシスト。九回先頭では漆原から中前にはじき返した。

 「3番・一塁」で先発出場した7日・巨人戦に続き、この日も猛打賞。与えられた出番で結果を出し、ひたむきに勝利への執念を燃やす姿勢は、好調なチーム状態と決して無関係ではない。大竹が先発した試合で初めてスタメン起用した新井監督は「ずっと内容が良かったので。期待通りの猛打賞。いいスイングだったと思いますよ」と褒め上げた。

 試合前には刺激をもらった。この日は母校・中京大中京が夏の甲子園1回戦に勝利して春夏通算137勝目、夏79勝目でともに勝利数トップを更新した。自身は15年前の09年、同校のエース兼4番打者として日本一の栄冠をつかんだ。「しっかり今日、力をもらったので自分も続けて良かったです」と笑顔。同じ関西で、後輩に負けじと輝きを放った一日になった。

 チームは2カード連続で阪神3連戦に勝ち越し。連日、強さを見せつけて昨季王者とのゲーム差を4に広げた。「僕たちも若い子たちに負けないようにと思ってやっている。そういうのが今日いい形で出たのかなと思います」。頼れる選手会長には、まだまだ大きな仕事が待っている。