(10日、第106回全国高校野球選手権大会1回戦 掛川西8―4日本航空) 掛川西の選手たちは、追い込まれてからぐっと集中力を上げる。 一回、先頭が内野安打で出ると、2番鈴木脩平はフルカウントに。「ヒットじゃなくてもつなぐ」。バスターで内角…

 (10日、第106回全国高校野球選手権大会1回戦 掛川西8―4日本航空)

 掛川西の選手たちは、追い込まれてからぐっと集中力を上げる。

 一回、先頭が内野安打で出ると、2番鈴木脩平はフルカウントに。「ヒットじゃなくてもつなぐ」。バスターで内角直球を右翼線にはじき返すと、スタートを切っていた走者が生還した。

 この回、3点をもたらした先頭からの4連打は、いずれもツーストライクから。4点を勝ち越した七回も、7番石川大峨がフルカウントから2点適時打を放った。

 「打つべきボールをしっかり打つ」。2018年に就任した卒業生の大石卓哉監督はそう指導する。しかし、静岡大会序盤は早いカウントから厳しい球を打って凡退する場面が目立った。そこで準々決勝前から、監督自らが打撃投手を務めるようになった。

 「監督さんが投げてくれる分、緊張感を持ってやれた」と鈴木。厳しい状況でも打席内で動じなくなった。以降の3試合はいずれも2桁安打で甲子園に乗り込んだ。

 この1勝は掛川西にとって、60年ぶりにつかんだ夏の甲子園での勝利だ。26年前に主将として出場した大石監督は目に涙をためながら言った。「一生懸命グラウンドでがんばってきた指導者や選手たちがつないでくれた勝利です」(大宮慎次朗)