パリ・オリンピック(五輪)第15日の9日、卓球男子団体戦3位決定戦で日本は、フランスに2―3で敗れた。3大会連続のメダル獲得はならなかった。 開催国を相手に最終試合まで戦った一戦について、2017、19年世界選手権シングルス代表の加藤美優…
パリ・オリンピック(五輪)第15日の9日、卓球男子団体戦3位決定戦で日本は、フランスに2―3で敗れた。3大会連続のメダル獲得はならなかった。
開催国を相手に最終試合まで戦った一戦について、2017、19年世界選手権シングルス代表の加藤美優選手(25)に語ってもらった。
■加藤美優の目
第2試合でフェリックス・ルブラン選手と戦った、張本智和選手の表情の硬さが気になりました。
張本選手は準決勝のスウェーデン戦で最後の試合を落とし、責任を背負い込んでいるように見えました。
プロですから、ショックでボロボロになることはありません。実際、この日もプレーの質が下がることはありませんでした。
ただ、メンタルの影響は競り合いの場面で出ます。
F・ルブラン戦の前半は、相手のバックに出す長いサーブが有効でした。しかし後半になると、回り込まれ、一発で決められる場面が増えました。
ここで、迷いが出たと思います。
長いサーブを続けるのか、短いサーブに切り替えるのか。思い切りが重要でしたが、狙いが定まらず、中途半端に短い、甘いサーブになってしまいました。
準決勝の後、張本選手は後ろ向きな発言をしていました。
批判的な意見も出るであろうことは承知していたはず。それでも、出てしまったんだと思います。
スポーツは、追い詰められてするものではありません。追い詰められて、良いプレーはできません。できるなら、張本選手に「五輪に出るだけで、すごいことなんだよ」と伝えてあげたいです。
今大会は、スウェーデンやフランスなど欧州勢が上位に入りました。
体格に恵まれている選手は、以前は感覚やパワーでプレーする印象でした。それが最近は基礎がしっかりして、粗さがなくなってきている印象です。
ボールタッチもよく、メンタル面も安定している。F・ルブラン選手や、男子シングルス銀メダリストのトルルス・モレゴール選手(スウェーデン)も安定していました。
欧州男子がアジア勢に対抗できるくらい、強くなってきています。日本が対抗するには、21歳の張本選手に頼りすぎないチームになる必要があるでしょう。
3位決定戦のシングルスで勝利した22歳の戸上隼輔選手も、最終試合でF・ルブラン選手に粘りを見せた20歳の篠塚大登選手も力があります。
経験のあるベテランがおらず、最後に「経験の差」が出てしまった感はありますが、若い選手が経験を積めたことは今後に生きるはずです。
日本には3人よりも若い、有望な選手もいます。4年後、今回よりさらに期待できるチームになるのは間違いありません。