(9日、第106回全国高校野球選手権大会1回戦 菰野6―2南陽工) 「5、6点とって失点を2に抑えたい」。森田亮太監督が描いた通りの展開だった。 一回、松山颯汰(そうた)中堅手(2年)は、速球を打ち返して左前打を放つ。「甲子園初打席でのヒ…

 (9日、第106回全国高校野球選手権大会1回戦 菰野6―2南陽工)

 「5、6点とって失点を2に抑えたい」。森田亮太監督が描いた通りの展開だった。

 一回、松山颯汰(そうた)中堅手(2年)は、速球を打ち返して左前打を放つ。「甲子園初打席でのヒットに興奮した」。二回には梶谷大也右翼手(2年)も右中間にはじきかえす二塁打。「指示通り、球に逆らわずに打った。二塁で聞いた声援が、めっちゃ気持ちよかった」。チームの中軸「5番打者」を担ってきた2人が躍動した。

 松山選手と梶谷選手は、ともに長打力のある右打者として争ってきた。183センチ、84キロとチームで最も身長が高い梶谷選手は、1年の夏から5番打者を任されてきた。一方、松山選手は昨秋から背番号8をつけるものの、代打に回ることが多く、「レギュラーと控えの間のような立場」だった。

 その松山選手が、今夏の三重大会で「爆発」した。バットを寝かせて構えるとミート力が上がり、5試合で5割3分を超える打率。初戦で7番だった打順は準々決勝から5番に定着した。

 一方、初戦は5番だった梶谷選手は調子が上がらず、準々決勝から8番に。「悔しかった」と奮起し、準決勝では3安打3打点の活躍を果たす。5試合の打率は3割3分3厘だが、打点は4で松山選手を上回る。

 そして迎えた甲子園での初戦。松山選手は5番、梶谷選手は8番。森田監督は三重大会決勝の時と変えなかった。ねらい通り、打線がうまくつながり、2人はともに2安打で勝利に貢献した。

 「たまたま5番を打っているだけ。つなげば、後の梶谷らが返してくれる」と松山選手。これに対し、梶谷選手は「悔しいけど、松山が調子がいい間は5番を任せたい。それに、8番だと気楽に打てて意外にいいんですよ」と笑った。(本井宏人)