甲子園で演奏する夢がかなった――。 愛知県の光ケ丘女子高校の吹奏楽部員や卒業生たちが、第106回全国高校野球選手権大会に愛媛代表として初出場する聖カタリナ学園高校の応援に、姉妹校として駆けつけることになった。試合日の10日、甲子園のアルプ…

 甲子園で演奏する夢がかなった――。

 愛知県の光ケ丘女子高校の吹奏楽部員や卒業生たちが、第106回全国高校野球選手権大会に愛媛代表として初出場する聖カタリナ学園高校の応援に、姉妹校として駆けつけることになった。試合日の10日、甲子園のアルプス席で演奏する。

 聖カタリナは吹奏楽部の部員が少なく、姉妹校の縁で光ケ丘女子に声がかかった。「吹奏楽の甲子園」と呼ばれる全日本吹奏楽コンクールの舞台には何度も立ってきた同校だが、野球応援や甲子園のアルプス席での応援は初めてという。

 吹奏楽部はいまコンクールシーズンのまっただ中のため、現役生の参加は8人のみで、卒業生が中心となる。10日は約50人が応援に駆けつける。

 聖カタリナ吹奏楽部の顧問岸洋一郎さんは「せめて十数人と思っていた中でこれほど大人数になってありがたい。名高い経歴を持っている光ケ丘女子と演奏できるのは幸せで夢のようだ」と話す。

■「聖歌メドレー」も練習

 8日、光ケ丘女子吹奏楽部の練習場からは在校生と卒業生の「かっせー、かっせー、カタリナ」という声援とともに、「サウスポー」や「紅」といった応援の定番曲が聞こえてきた。

 アルプス席で演奏する予定なのは14曲。毎朝の祈りの時間などに歌われる聖歌を取り入れたオリジナルの「聖歌メドレー」や、今回の初出場に合わせて新たに聖カタリナのレパートリーに加わった「情熱のうた」もある。

 サックスを担当する2年生の金井彩衣さん(16)は「『誰かのために演奏する』という音楽の意義を体現できてかっこいい」と手を挙げた。「このような機会を作ってくれた聖カタリナの選手に感謝を込めて演奏したい」とアルプス席からの光景を楽しみにしている。

■卒業生「53歳にして夢がかなった」

 3月に卒業したトロンボーン担当の大学生大串和花さん(19)は、高校野球がきっかけで吹奏楽を始めた。愛知代表の中京大中京の試合が、聖カタリナと同じ10日にあるため、観戦してから応援に臨むという。現役時代、2年連続で全日本吹奏楽コンクールに出場した大串さんは、自分たちが「先駆者」をテーマに活動してきたことに触れ、「初出場ということには意味がある。初勝利への期待を込めて演奏したい」。

 1989年卒のクラリネット担当、自営業の内田久乃さんは、愛知大会でも県内の高校の演奏に加わるほど高校野球の応援が好き。「愛知大会の応援が終わって、私の夏は終わってしまったと思っていたのにまさか……。アルプスで『アフリカン・シンフォニー』を演奏できるなんてしびれる」。2015年から光ケ丘女子の卒業生の吹奏楽団で楽器を再開したという内田さん。「53歳にして夢がかなった。光ケ丘女子に入ってよかった。応援には試合を変えるほどの力があるので思いを届けたい」と気合が入っていた。

 聖カタリナは10日の第3試合(午後1時10分開始予定)で、岡山代表の岡山学芸館と対戦する予定。(小原智恵)