蹴球放浪家・後藤健生は、どこでもサッカーを楽しむ。世界中で、そして空の上でも、サッカーのことを忘れない。ここでは、空の上からのサッカーの味わい方をお伝えする。 ■「地球」を眺める  飛行機で旅行するとき、機内のビデオやオーディオを楽しむ人…

 蹴球放浪家・後藤健生は、どこでもサッカーを楽しむ。世界中で、そして空の上でも、サッカーのことを忘れない。ここでは、空の上からのサッカーの味わい方をお伝えする。

■「地球」を眺める

 飛行機で旅行するとき、機内のビデオやオーディオを楽しむ人や、眠りに落ちる人が多いようです。しかし、それはあまりにもったいない。僕は、窓際の席で空からの景色を眺めていることがほとんどです。

 旅客機の巡航高度は約1万メートル。この高度からだと、「地表を眺める」というより「地球を眺める」に近い感覚になります。世界地図を頭に描きながら、どの辺を飛んでいるのかが想像できます。

 天然ガス鉱を燃やす炎を見て、シベリアの大地の豊富な資源に思いを馳せ(再び、ロシア上空を飛行できる日は来るのでしょうか?)、北アフリカ上空ではサハラ砂漠の広大さを実感し、中部アフリカでは広大な熱帯雨林を眺めました。

 トルコに向かう機内からは、中央アジアのアラル海が見えました。カスピ海とともに巨大な内陸海だったアラル海ですが、1940年代から当時のソ連政府が綿花栽培のためにアラル海に注ぐアムダリア川の取水を始め、その結果、アラル海の水位は下がり、広大な地域が砂漠化して塩害も顕著なようです。

 1万メートル上空から見ると、たしかにアラル海の大部分が干上がっている状況がよく分かりました。

■街の灯りの「違い」

 旅客機は、離陸直後や着陸前は低空を飛行します。

 次第に高度を落としていくと、家や道路の様子。あるいは農地の様子が見えてきます。

 北朝鮮を訪問したときは北京発平壌行きの中国民航機に搭乗しました。中国東北(旧満州)上空を飛行し、国境の鴨緑江(朝鮮語でアムノクガン)を越えて朝鮮領に入ります。ソ連製アントノフ24型機の窓から見ていると、中国領内は乾燥した荒地が多かったのですが、鴨緑江を越えるとほとんどの土地が農地化されて田んぼになっていました。

 北朝鮮の経済は疲弊し、飢餓が発生することも珍しくありません。しかし、それなりにしっかりと農地利用されているのが分かりました。

 さらに飛行機は高度を落としていきます。すると、地表の様子はさらにはっきりと見えてきます。

 まず気づくのは街の灯りです。

 貧しい国では家々の照明は暗く、街路灯もまばら。つまり、街全体が暗いのです。また、今でも白熱電灯を使っていることが多いので、照明がオレンジ色っぽくなります。

 街全体が煌々と照らし出されているのはアラビア湾岸産油国です。ドバイ(UAE)とか、ドーハ(カタール)の空港に着陸するときは街全体が明るく輝いている様子を見ることができます。

■鉄道駅より「サッカー場」

 さらに高度が下がると、家々や公共施設も一つひとつがくっきりと見えてきます。

 そうなると、サッカー好きとしては、ついついサッカー場を探してしまいます。

 スタジアムというのは上空から見つけやすい施設の一つです。

 たとえば大都市の中央駅などは大規模な施設ですが、形は千差万別あります。だから、線路を辿っていかないと駅は見つけにくいのです(鉄オタの人なら、すぐに見分けられるんでしょう)。

 その点、サッカー場は(屋根つきでなければ)長さ100メートル強、幅70メートル強の緑の芝生があるのですぐに目に入ってきます。そして、その緑の周囲にスタンドやスタンドを覆う屋根が見えてきますから、知っているスタジアムならすぐに見分けることができるでしょう。

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