「全国高校野球選手権・1回戦、大阪桐蔭5-0興南」(8日、甲子園球場) 1回戦3試合が行われ、大阪桐蔭が興南を下し、春夏連覇経験校対決を制した。2年生の最速149キロ右腕・中野大虎投手が9回4安打無失点で、同校史上初となる夏の甲子園の初戦…

 「全国高校野球選手権・1回戦、大阪桐蔭5-0興南」(8日、甲子園球場)

 1回戦3試合が行われ、大阪桐蔭が興南を下し、春夏連覇経験校対決を制した。2年生の最速149キロ右腕・中野大虎投手が9回4安打無失点で、同校史上初となる夏の甲子園の初戦完封発進に貢献。同校の2年生投手が夏の甲子園で完封するのは、2015年の田中誠也以来2人目となった。小松大谷は明豊に勝利し、春夏通じて甲子園初勝利。夕方から実施された第3試合では京都国際が札幌日大に勝利した。

 2万2000人の観衆の視線を、中野が独り占めにした。注目の名門対決で、2年生右腕が主役に躍り出た。

 「大事な試合を任された。甲子園というマインドセットをして臨みました」

 打たせて取る意識でテンポよく腕を振り、凡打の山を構築。三者凡退は4度で、わずか2四球と興南打線に付け入る隙を与えなかった。抑えるたびに声を上げ、同校史上初となる夏の甲子園初戦完封勝ちを成し遂げた。

 感情むき出しのプレースタイルは私生活でも変わらない。朝、目が覚めた瞬間から“中野劇場”が幕を開ける。「起きてすぐテンションマックスなんですよ」と明かすのは寮のルームメートである森陽樹投手(2年)。突然、雄たけびを上げて気合を入れたりと、中野がいることで部屋の雰囲気は明るくなるという。

 絵に描いたような野球小僧。この日は継投も頭にあった西谷浩一監督(54)に「大丈夫です」とベンチに帰るたびに訴えた。「代えたら怒られるかなと思って(笑)」と指揮官。名将もたじろぐほどの“投げさせろオーラ”を醸し出し、中野は最後までマウンドを譲らなかった。

 阪神の私設応援団を務めていた母方の祖父の願いから「大虎」の名をもらった。「頭の中で阪神のチャンステーマを流して投げました」と中野。聖地の申し子が、2018年以来6年ぶりの頂点へと導く。

 ◆中野 大虎(なかの・だいと)2007年6月18日生まれ。17歳。大阪府和泉市出身。180センチ、79キロ。右投げ右打ち。投手。5歳からソフトボールを始め、小6から大阪泉州ボーイズに所属。中学では浜寺ボーイズに所属。大阪桐蔭では1年秋に背番号「10」で初めてベンチ入り。最速149キロ。球種はスライダー、カットボール、カーブ、チェンジアップ。好きな球団は阪神。