■高嶋仁の目(8日、全国高校野球選手権大会1回戦 興南0―5大阪桐蔭) 大会屈指の好左腕・興南(沖縄)の田崎颯士投手に対し、大阪桐蔭は1~5番まで左打者を並べました。いかに抑えるか、攻略するかに注目していましたが、二回り目に大阪桐蔭打線が…

 ■高嶋仁の目

(8日、全国高校野球選手権大会1回戦 興南0―5大阪桐蔭)

 大会屈指の好左腕・興南(沖縄)の田崎颯士投手に対し、大阪桐蔭は1~5番まで左打者を並べました。いかに抑えるか、攻略するかに注目していましたが、二回り目に大阪桐蔭打線が見事に対応しましたね。

 一回、二回と桐蔭は無安打でした。左打者がボールになる外のスライダーに手を出し、泳がされていました。それが三回に変わりました。ベンチの指示があったのでしょうね。

 1死一、二塁から1番打者の吉田翔輝選手が右中間に2点適時三塁打。長打になりましたが、決して大振りせず、ジャストミートしていました。

 続く宮本楽久選手もきっちりセンター返しの適時打。大きな3点になりました。

 左打者が左腕を打つためのキーワードは「遊撃手(ショート)の頭」です。僕は監督時代、常に言っていました。「ショートの頭を狙え」と。

 練習試合などでは、左打者と約束することがありました。「右方向に引っ張ったらヒットを打っても交代」と。実際に右翼に本塁打を打った選手を代えたこともあります。

 その意識があれば、右肩が開かず、体重が軸足に残って引きつけて打てるんです。ボール球の変化球も見極められる。それがうまかったのが2000年に全国制覇したときの3番打者だった武内晋一(元ヤクルト)でした。

 興南としては、先制して相手を慌てさせたかったですね。一回無死一塁から送りバントが投手正面を突いて二封。その後の見逃し三振も痛かったです。

 しかし、1、2年生が多い若いチームなので、この経験を糧にして、また戻ってきてほしいですね。(智弁和歌山・前監督)