(8日、全国高校野球選手権大会1回戦 興南0―5大阪桐蔭) 大阪桐蔭の先発マウンドを託された中野の心は、弾んでいた。相手の興南も春夏連覇の経験がある強豪なのに、だ。「阪神のチャンステーマが頭のなかで流れていた」 一回、先頭打者に安打を許した…

(8日、全国高校野球選手権大会1回戦 興南0―5大阪桐蔭)

 大阪桐蔭の先発マウンドを託された中野の心は、弾んでいた。相手の興南も春夏連覇の経験がある強豪なのに、だ。「阪神のチャンステーマが頭のなかで流れていた」

 一回、先頭打者に安打を許したものの、次打者がバントで転がすと、すばやく二塁に送球して次の塁は踏ませない。自身の好守備からリズムを生み、以降は140キロ台の速球と多彩な変化球で凡打の山を築いた。

 2年生右腕は、大阪大会初戦でも先発して5回を無安打無失点だった。ともに大阪の「2強」と評される履正社との準決勝では、一回に2点を失ったが、以降は0を並べ続けた。結果、チームは5回コールド勝ち。プレッシャーのかかる試合での度重なる好投で、自信と信頼を得ていった。

 阪神の私設応援団員だった祖父の願いで「大虎(だいと)」と名付けられた。幼いころから客席で眺めていた甲子園は「すごく特別。広くて、ホームランは打たれないと思った」。捕手のサインを見るたびに笑みをこぼしながら、完封で期待に応えた。(平田瑛美)