華麗なプレーと愛らしいルックスで注目を集めるビーチバレー界のニューヒロイン、衣笠乃愛と菊地真結。"のあまゆ"の愛称で人気のふたりは、ほぼ毎日一緒に過ごすほどの大親友であり、ビーチバレーにおいての良きパートナーだ。今年大学を卒業し、春からプロ…

華麗なプレーと愛らしいルックスで注目を集めるビーチバレー界のニューヒロイン、衣笠乃愛と菊地真結。"のあまゆ"の愛称で人気のふたりは、ほぼ毎日一緒に過ごすほどの大親友であり、ビーチバレーにおいての良きパートナーだ。今年大学を卒業し、春からプロとして活動をスタートしたばかりの彼女たちにビーチバレーの魅力から、観戦の楽しみ方を語ってもらった。


ビーチバレーのニューヒロイン「のあまゆ」の菊地真結(左)と衣笠乃愛(右)

 photo by Takahiro Idenoshita

【ペア結成は高校3年生の時】

――プロのビーチバレー選手として活動をスタートしたおふたりは、インドアのバレーボールからスタートされたそうですが、ビーチバレーをやることになったきっかけを教えていただけますか?

菊地真結(以下、真結) 乃愛も私も共栄学園高校のバレーボール部に所属していました。練習の一環なんですけど、夏になると部員全員で海に行ってトレーニングをする日があるんです。そこで初めてビーチバレーをやりました。最初は砂に足が取られちゃって、うまく走れなかったです。

 それぞれペアを組んでみんなでミニゲームをやるんですけど、一試合目で負けてしまって、罰ゲームの浜ラン(砂浜を走る)をやりました。うまくできないし、楽しいと思えなくて......。高校1年の夏は浜ランの記憶しかないです(笑)。

衣笠乃愛(以下、乃愛) 真結と同じく高校1年の夏です。でも、私はなぜか1年の時からビーチバレーの代表に選ばれちゃって。最初は難しくてできないと思ってたんですけど、選手になってビーチバレーの練習を続けてやっていく過程で、「意外とやれるかも」と思った瞬間がありました。

 1、2年の頃はひとつ上の先輩とペアを組んで、高校生のビーチバレー全国大会「マドンナカップ」に出場。その先輩が卒業して、私が3年生になったタイミングで、ビーチバレーの少年少女の部が国体種目になったんです。第1回大会には必ず出たいから、誰かいいペアの相手がいないかなと探していて。ビーチバレーってオールラウンダーがいいんです。スパイクも打てるし、つなぎもできて、トスもできる。すべてのことがインドアでできる真結の力こそ、ビーチで活かせるんじゃないかと。そのタイミングで、ペアを組むことになりました。

――"のあまゆ"の誕生ですね!

乃愛 はい、仲も良かったので、すんなりペアとして馴染みました。真結とペアを組んだ高校3年の夏、国体やマドンナカップで優勝することができました。その後、ふたりとも明海大学へ進学してバレー部へ。ふたりでビーチバレーをやっていいよって言われたので、明海大学を選んだのもあります。

真結 明海大学ってバレーボール部が新設されたばかりで、ビーチバレーのコーチがいなかったんですよ。独学でやってきたので、実はビーチバレーの専門的なトレーニングは一切やっていなくて。インドアの技術をそのままビーチに使っていました。

【主役になれるのがビーチバレーの魅力】

――インドアとビーチではかなり違いますよね?

真結 違いますね。ボールをコントロールする力がインドアよりもビーチの方がすごく重要なんです。砂なので足場が悪いのはもちろん、ふたりしかいないので受けたボールはペアに絶対に渡さないといけない。より丁寧にボールを扱わないと、風が強い日なんかは飛ばされちゃったりします。

乃愛 強風時はサーブも打てなくて試合にならないなんてこともあります。あと、走ったり急にストップしたり、後ろに下がったりする時は、砂なので床とは違って足を取られやすい。インドアよりもビーチバレーの方がどんどん体力を奪われていくんです。夏なんて、インドアだと体育館なのでクーラーが効いているんですけど、砂浜でバレーをするとなると暑さがダイレクトにやってきて、体力的に本当にキツイんです。

 でも、大変なビーチバレーだからこそ、その経験がインドアのバレーにも活かせてるようで。ジャンプ力がかなり上がったと思います。インドアのチームメイトが「めちゃくちゃ飛んでるよ!」って教えてくれました(笑)。

――そんなビーチバレーの魅力って、なんでしょう?

真結 外なので開放感があるところです。あと、選手側の個人的な意見なんですけど、得点を決められることですね。インドアだと私のポジションがセッターなので自分で点数を取ることがほとんどないんです。仲間に決めてもらう。でも、ビーチバレーはふたりしかいないので、ひとりひとりのプレーが勝敗に影響を与える。点数を取れる分、輝けるんです(笑)。そこも魅力だなって思います。

乃愛 インドアだと6人いますからね。正直、ポジションによって脇役な人もいるんです。エースが一番輝けるというか......。一方、ビーチバレーはそれぞれが主役になれる。サーブも2回に1 回はまわってきますし。その分、責任も重くなるんですけど、点数を決めたり、主役として輝けるっていうのは魅力ですね。

【頑張りがカタチになった2023年のジャパンレディース】

――ちなみに、ビーチバレー観戦においては、どういう点に注目したらいいでしょう?

真結 コーナーやエンドライン、サイドラインなどを狙って打つ、ゆっくりとしたボールの「ショット」に注目してほしいです! ふたりしかいないので、コートに空いている穴(スペース)が多いからこそできる軟打なんですけど、強打で決めたりフェイントで魅せるインドアとは違った攻撃の仕方なので、見ている方たちも楽しめるんじゃないでしょうか。

乃愛 見どころというよりは、観戦にいらっしゃる方には夏のイベントとして楽しんでもらえると嬉しいです。ツアーなんかだとDJが入ったり、屋台が出たりするので、夏の音楽フェスみたいな感覚で楽しんでもらえると思います。浜辺でお酒を飲みながら観戦するのなんて最高ですよ!

――そんな雰囲気の中で、特に印象に残っている試合はありますか?

真結 2022年8月に大阪で開催されたジャパンレディース(全日本ビーチバレーボール女子選手権大会)の試合。私たちがプレースタイルの目標にしていた"れんのん姉妹(松本恋・松本穏)"と対戦することになったんです。結果は負けてしまったんですけど、すごいなって思わされるプレーがとても多くて、とても勉強になりました。

乃愛 その翌年のジャパンレディースも印象に残っています。当初目標にしていた「表彰台に立つ」という夢を叶えられたんです。トップクラスの選手の多くが海外の試合に行っていたこともあるとは思うんですが、3位を勝ち取って。大学でビーチバレーに打ち込んできた努力が集大成となった大会でした。この大会の試合は、たまに動画を見返したりします。

後編>>ビーチバレー界のニューヒロイン「のあまゆ」は何事もポジティブに変換 山本由伸の姿勢からも学びを得る

■Profile

衣笠乃愛(きぬがさ・のあ)

2001年8月13日生まれ。滋賀県出身。小学生の頃からバレーボールを始め、高校時代は共栄学園のバレーボール部に所属。その後、明海大学へ進学し、バレーボール部へ。2024年春からプロのビーチバレーボール選手として活動開始。幼少期の夢は歌って踊れるアイドルになること。今、一番欲しいものはトイプードルの赤ちゃん。

菊地真結(きくち・まゆ)

2001年5月24日生まれ。千葉県出身。小学生の頃からバレーボールを始め、高校時代は共栄学園のバレーボール部に所属。その後、明海大学へ進学し、バレーボール部へ。2024年春からプロのビーチバレーボール選手として活動開始。K-POP好きで、推しは女性アイドルグループ「IVE」のユジン。今、一番欲しいものはヘアビューロンのヘアアイロン。