■智弁和歌山前監督 高嶋仁の目 (7日、第106回全国高校野球選手権大会1回戦 健大高崎1―0英明) 苦しみましたね、健大高崎(群馬)は。本来の調子が出ないなかで勝てたのは、選抜王者の意地と、鍛え抜かれた守りやと思います。 六回の守りです。…

■智弁和歌山前監督 高嶋仁の目

 (7日、第106回全国高校野球選手権大会1回戦 健大高崎1―0英明)

 苦しみましたね、健大高崎(群馬)は。本来の調子が出ないなかで勝てたのは、選抜王者の意地と、鍛え抜かれた守りやと思います。

 六回の守りです。

 2死一、三塁から重盗を仕掛けられました。箱山遥人捕手からの送球を、投手の後ろで二塁手の高山裕次郎選手がカット、難しい捕球体勢から素早く本塁へ投げました。

 素晴らしかったのは送球の低さです。ショートバウンドになりましたが、むしろそれが正解でした。ノーバウンドで投げようとして、少しでも浮いたら本塁はセーフになります。

 箱山捕手も難なくショートバウンドをすくってタッチし、アウトにしました。これは高度なプレーです。何度も練習しているはずです。

 その直前にも、送球ミスがあって、飛び出した二塁走者を、高山選手が冷静に見て素早く送球し、刺しました。

 選抜王者の意地もあったのでしょう。エース左腕の佐藤龍月投手がひじの故障でベンチを外れました。「負けられない」という思いがさらに強まり、チームの結束を強めているのかもしれません。

 英明(香川)は得点できるチャンスが何度かありましたが、逃してしまいました。スクイズがファウルになり、満塁で不運な併殺打もありました。ただ、清家準投手の力投は見事でした。

 最後は二盗失敗でゲームセット。賭けに出たのでしょうが、同じ賭けなら、僕やったらヒットエンドランをかけたと思います。盗塁は成功しても点が入りませんが、ヒットエンドランなら外野の間を抜けたら同点ですから。

 見応えのある、ええ試合でした。(智弁和歌山・前監督)