パリ五輪レスリング男子グレコローマンスタイル60キロ級で、山梨県韮崎市出身の文田健一郎選手(28)が念願の金メダルを獲得した。地元の韮崎市役所で7日未明に行われたパブリックビューイング(PV)で、決勝の様子を見守った市民らが歓喜の声を上げ…

 パリ五輪レスリング男子グレコローマンスタイル60キロ級で、山梨県韮崎市出身の文田健一郎選手(28)が念願の金メダルを獲得した。地元の韮崎市役所で7日未明に行われたパブリックビューイング(PV)で、決勝の様子を見守った市民らが歓喜の声を上げた。

 「五輪の借りは五輪で返せ‼」という看板が掲げられた市役所には、深夜にもかかわらず約90人が集まった。細長いバルーンをたたきながらロビーで決勝戦を観戦。中国選手に勝利すると、「フミタ」コールがわき起こった。

 文田選手は父親の敏郎さんが監督を務める韮崎工業高校で力をつけ、東京五輪では銀メダル。6月に母校で行われた壮行会では「2番では終われない。悔しさをパリ五輪金メダルで払拭(ふっしょく)したい」と話していた。

 同校レスリング部2年の小沢幸将さんは「試合の最初から攻める姿勢が出ていたので勝てると思った。金メダルをとった偉大な先輩がいる中でレスリングができるのは幸せだと思う」と声を弾ませた。昨年、文田選手から指導を受ける機会があり、腕の使い方などをアドバイスされたという。「自分も全国大会で表彰台を狙いたい。勇気をもらいました」

 文田選手の高校時代にコーチとして指導していた後藤翼さん(37)は「当時から勝ち気な性格で、常に前向きだった。決勝でも前へ攻め続けた姿勢はすばらしかった」と喜びを語った。

 「日本で声援を送ってくれている人の思いを胸の国旗にしまって戦えたので、それがすごく力になった」と、試合直後のインタビューで感謝を口にした文田選手。

 市によると同市出身の五輪金メダリストは初めて。横断看板は「希望と感動をありがとう‼」に掛け替えられた。(米沢信義)