セーヌ川で行われたパリ五輪のトライアスロン競技。選手たちからは不満の声が噴出した。(C)Getty Images 大会の“象徴”となるはずだった競技は、物議を醸し続けた。セーヌ川も使用されたパリ五輪のトライアスロン競技である。 現地時間8月…

セーヌ川で行われたパリ五輪のトライアスロン競技。選手たちからは不満の声が噴出した。(C)Getty Images

 大会の“象徴”となるはずだった競技は、物議を醸し続けた。セーヌ川も使用されたパリ五輪のトライアスロン競技である。

 現地時間8月5日に行われたトライアスロンの混合リレーでドイツ代表が金メダルを獲得。これにより同競技は全日程を消化した。

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 最終種目は大きなトラブルもなく終えたトライアスロン。だが、開幕時から何かと話題が尽きなかったのも事実だ。とりわけ参加選手たちからも不満の声が噴出したのは、スイムで使用されたセーヌ川の水質だった。

 100年以上も遊泳禁止となっていたセーヌ川は、フランス政府が総額14億ユーロ(約2400億円)を投じて水質改善がされたはず。だった。

 しかし、本番が迫る中で問題が噴出。開幕から続いた雨天も影響して28、29日のスイムの公式練習が中止になったばかりか、30日の行われる予定だった男子のレースも延期。異例の男女同日開催となった個人レースでは、カナダ代表の男子選手がゴール後に嘔吐を10回もする映像が拡散されることもあった。

 実際にセーヌ川を泳いだ選出からも水質を疑問視する意見は並んだ。ベルギー女子代表のヨリアン・フェルメイレンは、母国のテレビ局『VTM』の取材で「橋の下を泳ぎながら、良くない匂いを嗅いだし、あまり考えたり感じたりするべきではないものも見た」と告白。競技の強行開催を「アスリートの安全が最優先されていたとはとうてい思えない。ほんと馬鹿げている」と断じた。

 それでもなお、パリ五輪の組織委員会はセーヌ川を「問題ない」と訴え続け、競技を推し進めた。混合リレー終了後に同市のアンヌ・イダルゴ市長は「これだけ馬鹿にされ、論争があったのに、セーヌ川の汚染がなくなり、人が泳げるようになったことがとてもうれしい」と“成功”を強調した。

「除染されたセーヌ川が私たちの生活を変えることを認めるべき。もう誰かを安心させる必要はない。セーヌ川の水はとても美しく、とても良いものになった」

 大会後の2025年の夏には市内3か所に遊泳場を設ける想定をしているパリ市。その一大計画を遂行するためにセーヌ川は、選手たちから不満の声が上がる中で「泳げる綺麗な川」としてレガシーとなった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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