◆パリ五輪 第11日 ▽体操男子(5日、ベルシー・アリーナ) 種目別鉄棒の決勝が行われ、金メダル候補だった初出場の杉野正尭(徳洲会)は、落下が響き11・633点で7位だった。日本男子で2大会ぶりに団体を制し、今度は個人でのタイトルを目指した…

◆パリ五輪 第11日 ▽体操男子(5日、ベルシー・アリーナ)

 種目別鉄棒の決勝が行われ、金メダル候補だった初出場の杉野正尭(徳洲会)は、落下が響き11・633点で7位だった。日本男子で2大会ぶりに団体を制し、今度は個人でのタイトルを目指した種目別は、悔しい結果に終わった。

 試合後に「悔しいっていう気持ちが一番に出てくる。最後はしっかり課題を残してしまった。また次に向けて、自分のレベルアップに向けて、取り組まないといけないなっていうのを感じた最後になった」と振り返った。

 鉄棒は杉野にとって自信のある種目。冬場のトレーニング期間はお正月も返上で、一日に最低でも1回は必ずペガン、コバチ、カッシーナ、コールマンの離れ技を成功させ、日々、感覚と成功体験をしみ込ませた。「オリンピックが始まる前から目標にしていた団体金、鉄棒金っていうところはぶらさずにここまでやってきた。団体決勝が終わってから、鉄棒の金メダルに向けてしっかり準備をしてきたが、まだまだ実力的には足りなかった」と口にした。

 男3兄弟の末っ子で、兄2人も体操選手だったが五輪には出場はかなわず。2人の思いも背負って、磨き上げてきた演技を披露した。杉野は、自身が高校生の時に父・忠さんをがんで亡くした。いつも試合会場では誰よりも大きな声で応援してくれていた父。「力になっていたと思います」と母・祥子さんは話していた。

 パリ五輪が終わった。「楽しくて幸せで。でも課題が残って悔しい思いもある。予選から鉄棒決勝まで、最後の最後まで体操競技っていうものを味わえたっていうところは、僕自身すごく、一生思い出に残るような、一生心に残るよう日々だった。自分が小さい頃から目指してきた場所で、どちらの思いもできるって、本当に幸せ。鉄棒の金メダルを目標にしていたので、どういうところが必要か考えながら、またここから頑張っていきたい」。強くなり、五輪の舞台に帰ってくる。