<こんな人>4位から出た松山英樹(32=LEXUS)が、日本男子ゴルフ初の表彰台となる銅メダルを獲得した。首位との3打差を追い、6バーディー、ボギーなしの65と伸ばし、通算17アンダー267。最終組の結果を待って、2度目の五輪での表彰台が決…

<こんな人>

4位から出た松山英樹(32=LEXUS)が、日本男子ゴルフ初の表彰台となる銅メダルを獲得した。

首位との3打差を追い、6バーディー、ボギーなしの65と伸ばし、通算17アンダー267。最終組の結果を待って、2度目の五輪での表彰台が決まった。21年東京五輪で4位に終わった雪辱を果たした。中島啓太(24=フリー)は3オーバーで49位だった。

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型破りな人というより、型破りが好きな人なのだろう。例年、年末に行っているインタビュー。こちらが持参した手みやげを「つまらないものですが」と言って渡すと、松山は「本当につまらないですね」と、真顔で返してくる。直後にニヤリと笑って「ありがとうございます」。毎年繰り返される冒頭のやりとりだ。

くだけた空気感をつくり“何でも聞いて”という、松山流の合図なのかもしれない。「コースだと、どうしてもねぇ」と、試合中の言葉数が足りないことを申し訳なさそうにする。メディアの後ろには、日本ゴルフ界の未来を背負う子どもたちがいることも理解。最も伝えたい思いは、21年マスターズの優勝スピーチでも話した「日本人にはできないんじゃないかということを覆す」だ。それが根底にあるから、型破りなアプローチで寄せたり、セオリーを無視してピンを攻めたりというチャレンジの末、数々の歴史をつくった。

「誰も行ったことがないところに行くのは、すごく難しいこと。でも1人出れば、また出てくる。野球で野茂さんやイチローさんが道を切り開いたように。青木(功)さんや、丸山(茂樹)さんたちがいたから、今の僕がいる」。日本人にはできない-。その固定観念を打ち破ることが、最大のモチベーション。日本男子初の五輪メダルは、松山が取るべくして取った。

ちなみに例年の手みやげは、お湯をかけるとできるフリーズドライのみそ汁。米ツアー転戦のおともに、と思ったが、そんな固定概念を見透かしての「本当につまらないですね」だったのか…。やっぱり近そうで遠い存在だ。【高田文太】