汚染状況が不安視され続けているセーヌ川でのトライアスロン。その影響が考えられるアクシデントが起きた。(C)Getty Images 避けたかった事態が起きてしまった。 現地時間8月4日、ベルギーのオリンピック委員会はパリ五輪のトライアスロン…

汚染状況が不安視され続けているセーヌ川でのトライアスロン。その影響が考えられるアクシデントが起きた。(C)Getty Images

 避けたかった事態が起きてしまった。

 現地時間8月4日、ベルギーのオリンピック委員会はパリ五輪のトライアスロン代表選手であるクレール・ミシェルが体調不良になったと公表。5日(現地時間)に予定されていた混合リレーの出場を棄権するとした。同国の日刊紙『De Standaard』は、ミシェルが大腸菌感染症のために入院しているとも報じている。

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 このパリ五輪のトライアスロン競技は、フランス政府が総額14億ユーロ(約2400億円)を投じて水質改善を図ってきたセーヌ川で実施されている。だが、連日の雨天により大量の生活排水が流れ込んだために水質は悪化。現地時間7月31日に異例の強行開催となった男女双方のレースでも選手たちからは苦言は殺到していた。

 他でもないベルギーの選手も実態をセーヌ川の劣悪さを訴えていた。レースを24位でフィニッシュしたベルギー女子代表のヨリアン・フェルメイレンは、母国のテレビ局『VTM』で「橋の下を泳ぎながら、良くない匂いを嗅いだし、あまり考えたり感じたりするべきではないものも見た。セーヌ川は100年以上も汚れていたわけでしょ? アスリートの安全が最優先されていたとは思えない。ほんと馬鹿げているわ!」と主張。芳しくない状況を把握していながら、大会の象徴でもあったセーヌ川での競技開催を推し進めた運営に怒りをぶつけた。

 ミシェルの入院報道は瞬く間に世界に波紋を広げている。米紙『USA Today』は、「彼女が倒れた原因が汚染されたセーヌ川に影響された可能性は大いにある」と指摘。現地時間8月5日に混合リレーが開催予定となっている現状をふまえ、「世論の懐疑論が強まっているにもかかわらず、主催者は『泳げるセーヌ川』をパリ大会の重要な遺産の一つとして描こうとし続けている」と皮肉っている。

 セーヌ川を泳いだ影響がどこまであるかは不透明ではある。しかし、競技を強行したパリ五輪の組織委員会に対する風当たりは強まりそうな情勢だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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