◆パリ五輪 第8日 ▽競泳男子200メートル個人メドレー決勝(2日、ラデファンス・アリーナ) 2日の男子200メートル個人メドレー決勝で、2大会ぶりのメダル獲得を目指した3大会連続出場の瀬戸大也(30)=CHARIS=は、1分57秒21の7…

◆パリ五輪 第8日 ▽競泳男子200メートル個人メドレー決勝(2日、ラデファンス・アリーナ)

 2日の男子200メートル個人メドレー決勝で、2大会ぶりのメダル獲得を目指した3大会連続出場の瀬戸大也(30)=CHARIS=は、1分57秒21の7位となり、400メートル(7位)とともに表彰台に届かなかった。不完全燃焼に終わった2021年東京五輪から3年、紆余(うよ)曲折を経てたどり着いたパリ五輪。「夢の舞台で全力で戦えたことに感謝」とすがすがしく語った瀬戸の道のりを、水泳担当の大谷翔太が「見た」。

 すがすがしい表情で、瀬戸が3度目の五輪を終えた。今大会のラストレースは7位。準決勝からタイムを落とし、目標のメダルには届かなかった。「悔しい気持ちはある。ただ、後悔は全然ない」。持てる力は出し切ったと、胸を張った。

 金を含む複数メダルを期待されながら、400メートル個人メドレーは予選落ちなど失意に終わった前回東京五輪。「納得して終わりたい」と、迷わずパリを目指した。国内に拠点を置いて強化。ただ、23年世界選手権は400メートルで3位に入りながらも目標の4分5秒台からはほど遠い4分9秒41。激しい練習を積んでいただけに「人生最低クラス」と、焦燥感にかられた。一時は気が抜け、体重が8キロほど増加。梅原孝之前コーチらに相談し、以前から親交のあるマイケル・ボール氏を勧められると、ワラにもすがる思いで同氏を頼った。

 渡豪し、すぐに設けられたボール氏との最初のミーティング。「覚悟して練習に参加できるか」と問われ、腹をくくった。日本からのメディアの取材をシャットアウトするなど、プールに全集中を向けることがチームに参加する条件の一つ。ボール氏が指導する強豪グリフィス大には当初20人ほど部員がいたというが、12人に減るほどの猛練習。長距離チームに交じり、引き締まった体も取り戻してパリに臨んでいた。

 この1年、できることは全てやったのだろう。ただ、今大会4冠のL・マルシャンなどは、腰を据えた努力を3年継続している。瀬戸は12月の世界短水路選手権で400メートルの7連覇を目指すことを公言しており、28年ロスに向けては「今、目指すとは発言できない。相当な覚悟がないと、これよりいい結果は厳しい」。明言は避けたが、本当に、本気になった瀬戸大也はどれほど強いのか。まだまだ未知数の潜在能力に、期待している自分がいる。

 ◆瀬戸 大也(せと・だいや)1994年5月24日、埼玉・毛呂山(もろやま)町生まれ。30歳。埼玉栄高―早大。2013年世界選手権男子400メートル個人メドレーで金メダルを獲得、15年大会で2連覇。16年リオ五輪は同種目で銅メダル。19年世界水泳では200、400メートル個人メドレーで2冠、200メートルバタフライでは銀メダル。パリ五輪で3大会連続五輪出場、世界短水路選手権は6連覇中。174センチ、75キロ。家族は妻と2女。