<パリオリンピック(五輪):卓球>◇3日◇女子シングルス3位決定戦◇パリ南アリーナ【パリ=松本航】2023年世界選手権銅メダルで世界ランク5位の早田ひな(24=日本生命)が、銅メダルをつかんだ。準々決勝で平野美宇を破った同8位の新鋭・申裕斌…

<パリオリンピック(五輪):卓球>◇3日◇女子シングルス3位決定戦◇パリ南アリーナ

【パリ=松本航】2023年世界選手権銅メダルで世界ランク5位の早田ひな(24=日本生命)が、銅メダルをつかんだ。準々決勝で平野美宇を破った同8位の新鋭・申裕斌(シン・ユビン、20=韓国)を4-2で下した。同種目で史上3人目の偉業となった。

手負いの早田が、日本のエースの意地を見せた。

第1ゲーム、痛みがある中で懸命にその左腕を振った。序盤から1点を争う大接戦。5-5から抜け出された。粘ったが9-11と奪われた。

第2ゲームも苦戦した。リターンのミスが出るなど1-4。しかし焦らず冷静に戦い6-5と逆転。一進一退の攻防が続いた。先にゲームポイントを握るが、逆転された。手に汗握る攻防が続く。集中力を発揮し、ここから粘った。13-11で奪い返した。ゲームカウントを1-1とした。

第3ゲームも追いかける展開となった。早田が強打を打ち込むが、申の守備力に苦しみ失点を重ねた。7-10とゲームポイントを握られた。だが強気に攻め、ここから一気に5連続ポイントを奪い12-10と大逆転した。ゲームカウントは2-1とリードした。

第4ゲームも左サイドへ打ち込むシュートドライブが光った。5-5から4連続ポイント。勢いが出てきた。このゲームを11-7で取り、勝利まであと1ゲームと迫った。

第5ゲーム、粘りの早田は健在だった。リードを許したが、6-6と追いつく。再び引き離されたが、終盤の勝負どころでショットが決まった。10-10と追いつく。しかし申を押し切れず、10-12で奪われた。

そして第6ゲーム、早田が勝負をかけた。鋭いフォアハンドでリードを奪う。申のリターンがオーバーすると気合の声を飛ばした。7-2。しかし反撃を食らって7-5とされたところでタイムアウト。勝負どころ。集中力を高めて仕切り直し。我慢強く11-7と勝利をつかんだ。

1日夜の準々決勝で左の手首から腕にかけて違和感が生まれた。前日2日の準決勝はテーピングを施し、世界女王の孫穎莎(中国)に0-4で完敗し、涙を流した。痛みがあった。「より厳しい試合にはなると思う。しっかり休んで、後悔しないように頑張りたい」と気持ちを切り替え、臨んだメダルマッチ。どこまでできるか分からない状況だったが、最後まで闘争心は衰えなかった。

試合後は涙が止まらず、「おとといの試合で痛めて自分でも現実を受け入れられなかった。試合の5分前にドクターに注射を打ってもらい100パーセントの感覚を持てた。後悔しないよう1ゲーム、1ゲームを戦った。こんなタイミングで神様にいじわるされるとは思わなかったけど、日本のみなさんが支えてくれた。最後までやり続けようと思った」などと涙ながらに語った。

4歳で始めた卓球。伊藤美誠、平野美宇と同い年のライバルが五輪メダルをつかむ中、自身は今大会が初出場だった。積み上げた努力がアクシデントも超越した。体力の限界の中で死力を尽くし、つかんだ銅メダルだった。