セーヌ川でのスイムに不快感を示していたマルテン・バンリールも泳いだ(C)Getty Images パリ五輪で7月31日、男女のトライアスロンが行われた。男子は東京五輪で2位だった英国のアレックス・イーが金メダルに輝き、日本ではニナー賢治が1…
セーヌ川でのスイムに不快感を示していたマルテン・バンリールも泳いだ(C)Getty Images
パリ五輪で7月31日、男女のトライアスロンが行われた。男子は東京五輪で2位だった英国のアレックス・イーが金メダルに輝き、日本ではニナー賢治が15位、小田倉真は41位という結果だった。女子で優勝したのは地元フランスのカサンドル・ボーグランで、日本の高橋侑子は40位に終わった。
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心配されていたスイムは、セーヌ川が26、27日の降雨で水質が悪化し、30日に予定されていた男子の競技は女子と同日に延期となった。水質の基準をクリアできなかったためだ。
米メディア『New York Post』は「セーヌ川で競泳ステージを開催するという賭けが、数日間の不確実性の後に功を奏し、観衆の声援を受けた」と伝えている。
「女子選手たちは、夜通し降っていた雨が弱まり始めた午前8時に競技を開始した」といい、「セーヌ川で泳いだ後は自転車でレースをし、パリ中心部まで走って素晴らしい景色が楽しめた」と記した。
だが、前夜に雨が降った影響で「数人の選手がシャンゼリゼ通りの濡れた石畳の上で滑り、自転車から転落した」と報じており、悪天候時には生活排水が流れ込んで水質基準が満たされなくなる恐れがあるため、セーヌ川でスイムが強行されたことにも疑問は残った。
同メディアは「チームやアスリート、大会の長期的なレガシーとして、セーヌ川を泳げるようにすることを住民に約束したパリ市当局にとっても、安心材料となっただろう」と伝えたが、選手にとっては最後まで不安の残る大会となったはずだ。
パリ市や仏政府などは「汚水を封じ込め、川への流出を最小限に抑えるために、約2300億円の公的資金を廃水インフラに費やした」とし、パリのアンヌ・イダルゴ市長も17日、実際にセーヌ川を泳いで水質改善をアピールして見せた。
それでも、すべての選手がセーヌ川で泳ぐことを納得していたわけでなはない。ベルギーの男子選手、マルテン・バンリールは『worldtriathlon』の公式インスタグラムに、「アスリートの健康が最優先であれば、このイベントはずっと前に別の場所に移されていただろう。 私たちは人形劇の操り人形に過ぎない」と投稿し、不快感を示していた。
競技自体はなんとか終えることができたが、アスリートたちにとっては集中力を維持するのが難しい大会となってしまった。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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