トライアスロンに参戦した選手たちを最も苦しめたのは、セーヌ川の水質ではなかった。(C)Getty Images スイム会場セーヌ川の水質問題が取り沙汰されていた、パリ五輪のトライアスロン女子が予定通り、現地時間7月31日午前8時から…

トライアスロンに参戦した選手たちを最も苦しめたのは、セーヌ川の水質ではなかった。(C)Getty Images

 スイム会場セーヌ川の水質問題が取り沙汰されていた、パリ五輪のトライアスロン女子が予定通り、現地時間7月31日午前8時から行われた。

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 大きなアクシデントこそ起きなかったが、悪条件下での強行開催が選手たちに影響がなかったわけではない。最大の懸念だったセーヌ川の状況は中継画面からも把握できるほど濁っていた。さらに前日の晩に振った雨で濡れた路面では転倒者が続出。30度を超えた当日の天候もあってレースは過酷さを極めた。

 悪天候時に生活排水が流れ込む状況となっているセーヌ川など、選手たちは悪条件の中でレースを強いられた。ゆえに競技終了時には不満の声も漏れた。豪紙『The Sidney Morning Herald』の取材に応じたナタリー・ファン・クーボルデン(豪州)は「正直に言うと、水の汚れよりも流れの方が問題でした。去年のテストイベントの時よりも強かった」と率直な意見を口にした。

「100回くらい溺れそうになったし、水をペットボトル10本分くらいは飲んだと思います。でも、私たちにはちゃんとした医療スタッフがいるので、なんとか身体を回復させてもらって、月曜日の混合リレーまでに復帰させてくれると思います」

 ファン・クーボルデンと同様に前日の悪天候による流れの強さを問題とする参加者は少なくない。全体10位でフィニッシュしたテイラー・スパイビー(米国)はレース後に米スポーツ専門局『NBC Sports』のフラッシュインタビューで「大量の水を飲んだ」と明かし、こう振り返っている。

「正直に言うと、私にとって水質よりも心配だったのは流れでした。おそらく参加者全員が、その場で泳いでいるような瞬間があったと思います。私にとってはそっちの方がずっと怖かったですし、無事に脱出できたのは幸運でした」

 汚染状況がひどすぎるという理由で1世紀以上も遊泳が禁止されていたセーヌ川。そこでついに実施されたパリ五輪競技。早朝の検査で大会公式委員会がゴーサインを出したものの、実際のところ水質は悪化していたと思われる。それだけに、明日以降で体調を崩す参加者が出ないことを願うばかりだ……。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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