パリ・オリンピック(五輪)第5日は30日、セーヌ川の水質が競技実施基準を満たさなかったとして、当初は午前8時にスタートする予定だったトライアスロン男子の実施が31日に延期された。 大会組織委員会の担当者は30日の会見で、セーヌ川の4カ所で…

 パリ・オリンピック(五輪)第5日は30日、セーヌ川の水質が競技実施基準を満たさなかったとして、当初は午前8時にスタートする予定だったトライアスロン男子の実施が31日に延期された。

 大会組織委員会の担当者は30日の会見で、セーヌ川の4カ所で行った検査の結果のうち、一部から国際競技団体の基準値を上回る大腸菌類が検出されたと明かした。

 開会式があった26日と翌27日に、「7月の1カ月分の雨が降った」(同担当者)影響が大きかったという。

 基準値の超過はわずかといい、国際統括団体「ワールドトライアスロン」のマリソル・カサド会長は「31日の実施には自信を持っている」と強調した。過去3年のセーヌ川の水質データを持っている組織委は、晴天が続けば水質は改善されると分析している。

 2021年の東京五輪でも、トライアスロンが行われた東京・お台場海浜公園の水質が問題視された。五輪のトライアスロン会場は、開催都市が観光スポットなどを世界中にPRするために選ばれることがあり、水質の問題と隣り合わせだ。

 組織委は延期について、「アスリートファーストで判断している」と繰り返した。「選手ではなく、(観光スポットの)美観を優先しているのではないか」という記者の質問に、担当者は「すべての行動はデータに基づいている」と語った上で、「私たちは21世紀に生きている。気候変動もあって、組織委ではコントロールできないことがたくさんある」とした。

 スイム、バイク、ランで競うトライアスロン。仮にスイムが中止となった場合は、残り2種目で競技を行う可能性もある。実際に欧州選手権で2種目で大会を実施した例もあるという。

 スイムが得意な選手にとって不利になるが、カサド会長は「大会そのものをなくしたら、選手はメダルも賞金も獲得する機会を得られない。選手は中止を望んでいない。条件はみんな、同じです」との見解を示した。(野村周平)