「ヤクルト5-4広島」(28日、神宮球場) 歓声と悲鳴が交差しながら無情にも打球は左中間を割っていった。広島・栗林良吏投手が今季42登板目にして初めてのセーブ失敗で4敗目。「みんなが頑張ってくれていたので普通に悔しい」。絶対的守護神は敗戦…

 「ヤクルト5-4広島」(28日、神宮球場)

 歓声と悲鳴が交差しながら無情にも打球は左中間を割っていった。広島・栗林良吏投手が今季42登板目にして初めてのセーブ失敗で4敗目。「みんなが頑張ってくれていたので普通に悔しい」。絶対的守護神は敗戦の責任を一身に背負いながらも試合後は立ち止まって努めて冷静に言葉を紡いだ。

 わずかな違いが勝負を分けた。4-3の九回から登板すると、先頭からの連打などで1死二、三塁のピンチを招き、打席には中村。盗塁の心配がないため、足を上げて投球し、カーブで空振り三振に斬って2死までこぎ着けた。

 勝利まであと1死。ここで二塁走者の代走・武岡の姿が栗林の目に入った。「リードが大きくなったと思ってしまった」。わずかな焦りから長岡にはクイックモーションでの勝負を選択し、初球のフォークをはじき返され、痛恨の逆転サヨナラ打を浴びた。「もう1回間を空ければ良かった」。悔やんでも悔やみきれない1球に対して、自責の念がにじみ出た。

 最終的にこの日打たれた3安打は全てフォーク。捕手・石原は最後までフォークを信じてサインを出し続けた。「だからこそ期待に応えたかった」と右腕。「切り替えることはできない」と1敗の重みを受け止めた。

 一方、新井監督は「これはもうしょうがない。しっかり切り替えて明後日から」と強調。手痛い負けであることは変わりない。それでもただ前を見て進み続けるしかない。