「ヤクルト5-4広島」(28日、神宮球場) 広島・坂倉将吾捕手(26)が完全復調を印象付けた。同点の六回に一時勝ち越しとなる5号ソロ。三回の好機では2点適時打を放つなど、今季2度目の1試合3打点と躍動。打率・203と苦しんだ前半戦から一転…

 「ヤクルト5-4広島」(28日、神宮球場)

 広島・坂倉将吾捕手(26)が完全復調を印象付けた。同点の六回に一時勝ち越しとなる5号ソロ。三回の好機では2点適時打を放つなど、今季2度目の1試合3打点と躍動。打率・203と苦しんだ前半戦から一転、今3連戦は全試合で複数安打と状態は上向き。チームは九回に逆転サヨナラ負けを喫したが、本領を発揮する背番号31が打線をけん引していく。

 強烈な打球が右翼スタンドに突き刺さった。打った瞬間に坂倉は本塁打を確信。球宴前までの不振に別れを告げる豪快な一振りが、敗戦の中での収穫となった。

 同点に追い付かれた直後の六回だ。先頭で、代わったばかりの大西と対戦。初球の外寄り直球を力強く振り抜くと、白球は弧を描きながら右翼フェンスを越えた。試合後はチームの敗戦を受け止めつつ「先頭なので塁に出られるようにと。初球だったので思い切っていった結果、ああいうふうになったので良かったです」と淡々と振り返った。

 一時勝ち越しのアーチは6月26日・ヤクルト戦以来、57打席ぶりの5号ソロ。1点リードの三回は2死二、三塁のチャンスで右前へ運び、2点適時打を放った。これで19日・阪神戦から5試合連続安打。際立つのは後半戦開幕となった今カードの躍動ぶりで、26日からの3連戦は全てでマルチ安打をマークするなどコンスタントに快音を響かせている。

 本人は「これだけ(安打が)続くこともなかったですし結果として出ているので、いい傾向かなと思う」と現状を分析した。チームは1点リードの九回にまさかのサヨナラ負け。悔しい黒星となったが、完全復調した姿を示し、敵地で声援を送る鯉党に光を届けた。

 23日からの「マイナビオールスターゲーム2024」には監督推薦で出場。24日の第2戦では、セ・リーグ初の満塁本塁打を放った。他球団の選手たちと交流できる夢舞台は、坂倉にとっても貴重な時間になった。「たくさんの人と話せましたし、その中で(聞いたことを)自分でかみ砕きながらいろんなモノを付け合わせて、いい方向にいっているかなと思います」と実感を込めた。

 この日は試合前、母校・日大三高が神宮球場で西東京大会の決勝戦に挑んだ。甲子園には届かなかったが、試合途中まで現地観戦に訪れた。

 26日の準決勝にも足を運んだと明かし「三高の子は負けちゃったけど、野球を続ける子も野球を辞める子も人生、これからの方が長い。悔しいこともあると思うけど、絶対にいいことがあると思う。僕も刺激をもらったので、お互いに頑張れたら」と後輩たちの姿が励みになった。勝負の後半戦、勢いを取り戻した男が夏場の戦いを支える。