(27日、第106回全国高校野球選手権岡山大会準決勝 金光学園3―8関西) 関西に4点を先行されて迎えた四回。さらに2点を失ったところで、金光学園の高橋秀太(3年)はマウンドに立った。投手をつなぎ、この日の4番手。「関西打線は力強い。抑えら…

(27日、第106回全国高校野球選手権岡山大会準決勝 金光学園3―8関西)

 関西に4点を先行されて迎えた四回。さらに2点を失ったところで、金光学園の高橋秀太(3年)はマウンドに立った。投手をつなぎ、この日の4番手。「関西打線は力強い。抑えられるのは自分だけだ」。気持ちは高ぶっていた。

 24日の準々決勝では、春の県大会を制した倉敷商を完封。140キロ超の直球を軸に変化球がさえ、散発5安打で三塁を踏ませなかった。倉敷商戦の投球数は145球。関西との試合前は「きょうは投げさせない」と言われてはいたが、試合中はブルペンで肩をつくっていた。

 少し疲れはあったが、調子は悪くなかった。しかし最初の打者にいきなり安打を許す。アウトを一つ取った後に連打も喫した。タイミングを外しても、バットをしっかりと振り切られていた。さらに1点を失った。

 それでも高橋の登板にチームは熱くなった。五、六回は四死球で走者を出したが、捕手の中川琥心(とらのしん)(3年)がいずれも強肩を見せて二盗を許さず3人で攻撃を終わらせた。五回の攻撃では、主将の三宅主晃(かずあき)(3年)が2点適時打を放つ。仲間たちは高橋に負けじと見せ場をつくった。

 「ピンチになると打者から逃げていた」と高橋は以前の自分を振り返る。強打のチームではない。守備をしっかり立て直し、自身はピンチでこそ強気の投球をすることを生命線にした。

 「守備から流れをつくる野球。1回戦から準々決勝までは自分たちの戦いができた」。最後の夏、手応えがあったからこそ、試合後は悔しくて涙に暮れた。(小沢邦男)