(27日、第106回全国高校野球選手権山形大会決勝、鶴岡東11―1東北文教大山形城北) もともと投打で非凡な力を見せてきたが、今春、18歳以下の日本代表候補の合宿に参加し、注目度はさらに高まった。 この日の決勝戦、鶴岡東の桜井椿稀(つばき)…

(27日、第106回全国高校野球選手権山形大会決勝、鶴岡東11―1東北文教大山形城北)

 もともと投打で非凡な力を見せてきたが、今春、18歳以下の日本代表候補の合宿に参加し、注目度はさらに高まった。

 この日の決勝戦、鶴岡東の桜井椿稀(つばき)選手(3年)は、最後まで左翼の守備にいた。

 3日前の準決勝、昨年の覇者・日大山形を相手に166球で完投し、1点差で勝った。雨で1日順延したとはいえ、疲労は残っていた。

 「投手の準備は言われていたんですけど、きょうは先発した杉浦(朔)が頑張ってくれた。感謝しかないです」

 今大会は4番として打率3割6分8厘、1本塁打、決勝の適時打を含めチームトップタイの6打点。それでも、打者よりも投手への意識が強い。

 苦い記憶がある。昨夏、準々決勝の山形中央戦で先発登板。指の爪が割れ、七回で降板した。八回に追いつかれ、チームはサヨナラ負け。「準備」の大切さを痛感した。

 伸びのある球を追求する。「低めで打ち取る。低めで三振を取れれば一番いい」。昨年の山形中央には「投打二刀流」で注目される武田陸玖(りく)選手(現・横浜DeNAベイスターズ)がいた。

 「何を投げても打たれるような、尊敬できる打者だった。投球も打撃も全力ですごい」。大きな刺激になった。

 「しっかり準備し、甲子園で対戦する打者を打ち取りたい」。やることは変わらない。(坂田達郎)