(27日、第106回全国高校野球選手権静岡大会準決勝 掛川西6-3加藤学園) 九回裏、加藤学園は2死満塁と攻めたが、後続を断たれた。相手を上回る安打を放ったが、あと一本が出なかった。次打者サークルで試合終了を迎えた小室太陽主将(3年)は「…

 (27日、第106回全国高校野球選手権静岡大会準決勝 掛川西6-3加藤学園)

 九回裏、加藤学園は2死満塁と攻めたが、後続を断たれた。相手を上回る安打を放ったが、あと一本が出なかった。次打者サークルで試合終了を迎えた小室太陽主将(3年)は「打てる自信はあったけど仕方がない。一本の大切さを知った」と振り返った。

 優勝した春の県大会で掛川西の増井俊介投手(3年)に直球やカットボールで苦しめられ、チームメートに「振りまけないよう力強く打っていこう」と声をかけて臨んでいた。「自分たちの方がチャンスはあったと思う。チャンスに1点を重ねた相手が上だった」と悔やんだ。

 入学直後の入部式で、同級生に「主将として甲子園に出場する」と宣言した。新チーム発足時には主将に立候補。失策すると試合を投げ出してしまうような「どうしようもないチームだった」が、この日は最後まで諦めなかった。自身も同点で迎えた二回裏、右前安打で出塁すると、すかさず二盗を決めた。準々決勝の浜松工戦では三塁を陥れ、次の塁をめざし、追加点を取りに行く攻めの姿勢を貫き、相手投手が代われば投球の癖を次打者に伝え、励まし合った。「攻めていく野球はできた。やり切ったので悔いはない」と言い切った。

 「最後まで堂々と試合ができた。高校野球はここで終わるけれど、この先の方がずっと長い。3年間で学んだことを生かしていきたい」。さっぱりとした表情で球場をあとにした。(田中美保)