(27日、第106回全国高校野球選手権千葉大会決勝、市船橋1―2木更津総合=延長10回タイブレーク) 十回表の木更津総合の守り。相手の三塁走者が捕手の送球を邪魔したとして守備妨害と判定された。直後に内野手がマウンドに集まり、18番を背負う…

 (27日、第106回全国高校野球選手権千葉大会決勝、市船橋1―2木更津総合=延長10回タイブレーク)

 十回表の木更津総合の守り。相手の三塁走者が捕手の送球を邪魔したとして守備妨害と判定された。直後に内野手がマウンドに集まり、18番を背負う主将川上泰輝(3年)が伝令として走った。「0点でなんとかしのごう」

 川上の帽子のつばにある3文字、それは「甲子園」。今夏、秋の県大会3回戦で負けた中央学院戦の前に自分で書いた。

 「このためにがんばってきた」。そう思える3文字にした。

 秋の大会後に主将になった。練習に身が入らない人は見捨てていたが、今は違う。勝つためには団結力が必要だと気づいた。それからは、色んな部員と「個人面談」をした。熱が伝わったのか、みんなも変わってくれた。試合に出たい気持ちはあるが、「チームの勝利が一番うれしい」と任された役割を全うする。

 この決勝戦でも、何度もこの文字を見て、みんなに熱を送った。守備妨害の判定をめぐり説明を求めるシーンが続く中、審判の判断を信じてベンチから見守った。

 そしてついに、帽子に書いた夢舞台への切符を手にした。夏は、まだ続く。これからも色んな人と話して、大切だと感じたことがあれば、「甲子園」の隙間に書き込もうと思っている。=ZOZO(マハール有仁州)