「高校野球広島大会・決勝、広陵3-1広島商」(27日、マツダスタジアム) 決勝が行われ、広陵が2年連続25度目の優勝を飾った。2年連続で広島商と決勝で激突。エース・高尾響投手(3年)が138球の熱投で7回2/3を6安打1失点と試合をつくり…

 「高校野球広島大会・決勝、広陵3-1広島商」(27日、マツダスタジアム)

 決勝が行われ、広陵が2年連続25度目の優勝を飾った。2年連続で広島商と決勝で激突。エース・高尾響投手(3年)が138球の熱投で7回2/3を6安打1失点と試合をつくり、4季連続での甲子園出場を決めた。全国高校野球選手権大会は8月7日に開幕。組み合わせ抽選会は同4日に行われる。

 マウンドにできた歓喜の輪の中心に背番号1はいなかった。この事実こそが強さの証拠だ。最後のアウトをベンチから見届けた高尾は、遅れて仲間たちのもとに飛び込んだ。

 「山口を信じてベンチでしっかり声を出していました。抑えてくれて自分もうれしかったです」

 試合の主役は高尾で間違いなかった。今大会2度目の先発。二回に適時内野安打で先制点を献上し、今夏14イニング目にして初失点を喫するも、「このあとは絶対0に抑える」と三回以降はスコアボードに0を刻み続けた。

 逆転し、2点リードで迎えた八回に大きな分岐点が訪れる。2死二、三塁からこの回2つ目の四球を与え、満塁に。球数はすでに130球を超えていた。長打が出れば一打逆転の場面。ここで中井哲之監督(62)は左腕の山口大樹投手(3年)へのスイッチを決断。高尾から「頼むぞ」とボールを受け取った山口が代打・中村から空振り三振を奪い、ピンチを脱出した。

 チームにとって高尾という存在がいかに大きいか-。指揮官は決勝の前日、今夏、好投を続けている山口と2年生右腕・堀田に「明日の先発どうする」と問いかけた。2人の答えは「響で」「高尾さんで」と同じだった。「うそでも僕がいきますって言えよって」と苦笑いの指揮官。しかし「2人が響を認めている証拠。響で負けたら仕方ないって思えるほど信頼されているということ」と迷いなくエースを大一番のマウンドに送った。

 そんな絶対的エースが降板しても、もぎとった1勝。中井監督は「広陵が一つ上に上がるためには、どこかで高尾を代えて勝たないとと思っていた。この勝利は投手陣にとって財産になる」と頼もしさが増した選手たちを評価し目尻を下げた。

 チームは4季連続での甲子園出場。1年から名門のエースナンバーを背負ってきた高尾にとって集大成の舞台となる。「一人一人の打者に対して絶対打たせない気持ちを持って、甲子園で投げていきたい」と右腕。4度目の聖地のマウンド。周りには心強い仲間がいる。広島の絶対王者が初の夏日本一をチーム全員でつかみにいく。

 ◆高尾 響(たかお・ひびき)2006年5月22日生まれ、18歳。福岡県出身。身長172センチ、体重73キロ。右投げ右打ち、投手。小1年から軟式の土井ジャガーズで野球を始め、粕屋東中時は硬式の飯塚ボーイズに所属。広陵では1年春からベンチ入り。1年秋の神宮大会では準優勝。2年春のセンバツではベスト4。最速148キロ。