「ヤクルト3-0広島」(27日、神宮球場) ヤクルトは0-0の七回一死満塁で代打・川端慎吾内野手が右翼へ決勝の2点適時打を放った。  ◇  ◇ みんなが見たかった、待ち焦がれていた川端だった。必殺仕事人の働きで均衡した投手戦の時を進める。…

 「ヤクルト3-0広島」(27日、神宮球場)

 ヤクルトは0-0の七回一死満塁で代打・川端慎吾内野手が右翼へ決勝の2点適時打を放った。

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 みんなが見たかった、待ち焦がれていた川端だった。必殺仕事人の働きで均衡した投手戦の時を進める。七回1死満塁で決勝の代打2点適時打。「久々に緊張したんですけど、打席に入ったら落ち着いていて。不思議な感覚でした」。空が味方してくれた。

 背中を押されたような気がした。なかなか状態の上がらなかった5月。自主トレを行う愛媛・松山での主催試合を前に、大切な人の墓へ手を合わせた。権現温泉の主人・石丸直史さんに線香をあげ、「打たせてください」と言葉をかけた。

 参加して15年になる松山での自主トレ。川端は「ふるさと」と呼び、「石丸さんがいなかったら自主トレは存在していないかもしれない」と感謝する。松山での2試合で出番はなく、6月末に2軍降格も経験。それでも「結果以上に悪くない。きっかけ一つで変わる」と向き合い、歩みを止めることはなかった。

 打てなかった夜は、朝方4時まで眠れない。YouTubeで「イライラを落ち着かせる」音楽をひたすら流した。一喜一憂してはいられない代打の流儀の中で、川端が生き残ってきた道がある。故人に語りかけた日がよみがえった。(デイリースポーツ・松井美里)