(27日、第106回全国高校野球選手権富山大会準決勝 富山商7―6富山北部) 前半から、相手に得点を重ねられる苦しい展開。八回に打線が連打で逆転、苦しい試合を制した。優勝を決めた瞬間、捕手の鶴田尚冴(しょうご)主将は右手を突き上げてマウン…

 (27日、第106回全国高校野球選手権富山大会準決勝 富山商7―6富山北部)

 前半から、相手に得点を重ねられる苦しい展開。八回に打線が連打で逆転、苦しい試合を制した。優勝を決めた瞬間、捕手の鶴田尚冴(しょうご)主将は右手を突き上げてマウンドに駆け寄った。「世界一幸せなキャプテンだと思います」

 昨夏から正捕手。選手間の投票で主将に決まった。その時、富山代表がまだ成しえていない、「夏の甲子園4強を本気で目指そうと思った」という。

 だが、連覇の重圧がかかる。今大会、準々決勝までの3試合で13打数2安打で打率1割台。「調子は悪いです」。率直に話した。前崎秀和監督からも「打率が1割台の選手がいては――」と奮起を促された。

 新チームになってから打線で1番を打つことが多い。ただ、50㍍走は7秒台で、「足は速くありません」。それでも任されたのは、高い出塁率と状況判断の能力があるとの評価からだ。

 今大会も4試合で1番で起用された。前崎監督の厳しい言葉は、期待の裏返しでもある。「キャプテンの重圧もあるだろうけど奮起してほしい」。

 準決勝では、先制の2点適時打と三塁打、決勝も1安打を放ち、調子も上がってきた。

 高校野球で、一番印象深い出来事に、昨夏の甲子園出場を挙げる。しかし、いい思い出だけではない。初戦で鳥栖工(佐賀)に延長十二回タイブレークの末敗れた。「冷静な配球ができず、打たれてしまった」と悔いだけが残った。それを晴らす舞台が待っている。(前多健吾)