ドーピング使用の疑念が向けられている中国勢。(C)Getty Images 世界から向けられる疑念も中国メディアは意に介さない。 中国が逆風にさらされるキッカケとなったのは、今年4月に複数の米メディアがすっぱ抜いたドーピングの使用疑…

ドーピング使用の疑念が向けられている中国勢。(C)Getty Images

 世界から向けられる疑念も中国メディアは意に介さない。

 中国が逆風にさらされるキッカケとなったのは、今年4月に複数の米メディアがすっぱ抜いたドーピングの使用疑惑だ。東京五輪の約半年前に23人の中国人競泳選手から禁止薬物トリメタジジンが検出されたにも関わらず、彼らが水泳競技に出場していたと報じたのだ。

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 採取された検体は、禁止物質のトリメタジジンに陽性反応を示したとされている。だが、「陽性反応は検体の汚染が原因」とする中国反ドーピング機関(CHINADA)の主張を世界ドーピング機関(WADA)が認定。大きな処分は科されず、当該選手たちはパリ五輪にも参戦している。

 こうしたドーピングにまつわる疑惑が浮上したことで、中国競泳選手団への警戒の目は強まる一方だ。現地時間7月25日に世界水連のフセイン・ムサラム会長は「専門家を雇って調査し、報告書を示した。やれるだけのことをやった」と公表。中国選手たちには今年1月から現在までに、一人当たり平均21回という「前例にない回数のドーピング検査を行った」としている。

 こうした実情をふまえ、中国国内では選手たちの“潔白”を訴える声が強まっている。スポーツ・メディア『捜狐』は、異例の回数が実施されたドーピング検査について「これは世界水連による公式発表であり、嘘のつきようがないものだ」と強調。その上で、反発を受け続けている現況について「中国の水泳界が急成長を遂げ、欧米諸国は自らの優位な立場を脅かしているのではないかと、心から恐れている」と論じた。

 また、度重なるドーピング検査が選手の心身に影響を及ぼすとも訴える『捜狐』は「23年に200mの平泳ぎの世界記録保持者であるタン・カイヨウは46回も検査を受けた。そして、中国チームはパリに入ってからも200回以上のテストを受けている。これは明らかに心理的なプレッシャーとストレスになる」と断言。そして「中国が勝つためには多くの困難を克服する必要がある」と嘆いた。

 かつてないほどに緊張感が強まっている競泳界。パリ五輪では27日(現地時間)の女子100mバタフライから始まるが、クリーンさをアピールできるだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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