(27日、第106回全国高校野球選手権和歌山大会準決勝 智弁和歌山7―0田辺) 五回まで、昨年の秋季大会準決勝と同じ展開。「大丈夫。なんとか1点ずつ返していこう」。田辺のエース・寺西邦右投手(3年)は、五回終了時のクーリングタイムで、仲間…

 (27日、第106回全国高校野球選手権和歌山大会準決勝 智弁和歌山7―0田辺)

 五回まで、昨年の秋季大会準決勝と同じ展開。「大丈夫。なんとか1点ずつ返していこう」。田辺のエース・寺西邦右投手(3年)は、五回終了時のクーリングタイムで、仲間にも、自分にも言い聞かせた。

 今春の選抜大会で21世紀枠に選ばれ、「目標にしていた甲子園に行けた」。星稜(石川)と対戦し、好ゲームができたことは大きな自信になった。

 大会までにトレーニングを重ね、球速は4~5キロ増した。チームもつなぐ打撃を意識できるようになっていた。成長が実感できる1年だった。

 しかし、相手も力をつけていた。仲間と守ってきたが、六回につかまった。長短打を重ねられ、満塁の場面では、投げ込んだスライダーが高めに浮き、本塁打を浴びた。

 昨秋は、田辺の山本陣世選手(3年)が満塁本塁打で逆転した。「仕返しされたな」。寺西投手は、左翼線に飛んでいくボールを見送った。

 あこがれの甲子園。舞台に立てたことは、宝物だ。

 「もう1回行きたかったけど」。学校に戻ったら、後輩にその魅力を話そうと思っている。(寺沢尚晃)