(27日、第106回全国高校野球選手権東東京大会準決勝 帝京13―3東京=八回コールド) 東京には、ここぞ、というときに流すチャンステーマがある。その名も「チャンス東京」。27日、帝京との準決勝でも吹奏楽部員らが演奏を準備していた。 ファン…

(27日、第106回全国高校野球選手権東東京大会準決勝 帝京13―3東京=八回コールド)

 東京には、ここぞ、というときに流すチャンステーマがある。その名も「チャンス東京」。27日、帝京との準決勝でも吹奏楽部員らが演奏を準備していた。

 ファンファーレのような出だし、徐々に音階が上がっていくメロディー。試合を盛り上げる1曲だ。実は、同校出身で野球部監督の松下浩志監督(43)が高校時代、試合の時のテーマ曲として使っていたものだ。吹奏楽部が編曲を重ね、今の形になったという。同部部長の石井優和さん(3年)は「周りも盛り上がるし、自分も盛り上がる。どんどん塁に出てもらい、たくさん演奏したい」と意気込んでいた。

 石井さんは1年生の時、東京のエース永見光太郎(3年)と同じクラスだった。去年は2年生ながらスタメン入りした永見に「すごいな」と思った。今日も「勝ってほしい、何とか守ってほしい」と祈りながらトロンボーンを吹いた。

 準決勝の応援のために、吹奏楽部は山梨県の山中湖近くでの合宿を途中で切り上げ、この日朝4時に合宿所を出て球場に向かった。眠さもあったが、部員の気持ちは一つだった。「どうしてもスタンドで演奏がしたい」。照りつける日差しの中、球場いっぱいに元気な音を響かせていた。

 永見は力投したが、帝京打線につかまり、八回コールド負け。「チャンス東京」もたくさん吹くことはできなかった。それでも、同校初の準決勝の舞台。青空の下で精いっぱい演奏する貴重な経験だった。(石川瀬里)