26日開幕のパリ五輪で、52年ぶりの金メダルに挑むバレーボール男子日本代表が、27日午前9時(日本時間午後4時)開始の世界ランク11位のドイツとの1次リーグ初戦前日のこの日、午前にパリ市内の体育館で最終調整した。フィリップ・ブラン監督(6…

 26日開幕のパリ五輪で、52年ぶりの金メダルに挑むバレーボール男子日本代表が、27日午前9時(日本時間午後4時)開始の世界ランク11位のドイツとの1次リーグ初戦前日のこの日、午前にパリ市内の体育館で最終調整した。フィリップ・ブラン監督(64)はドイツとの大一番を前に、23日のパリ入り後では初めて練習を非公開とし、難敵攻略への策は“ベール”に包まれた。バレーボール担当の宮下記者がその背景を読み解いた。

 “ブラン・ジャパン”は集大成の舞台へ、静かに最終調整を終えた。27日の難敵・ドイツとの初戦を前にブラン監督はパリ入り後、4日目で初めて練習を急きょ非公開とした。報道陣を遮り、大一番に集中。指揮官は「27日朝9時にハイパフォーマンスを出せるようにしたい」と語り、緻密(ちみつ)な準備を貫き、選手が初戦に集中できる最善の環境を重視したとみられる。

 万全な準備を整えてきた。昨秋の五輪予選で16年ぶりに自力での出場権をつかみ、残りの期間を準備に充てることができた。ブラン監督は同大会後、毎日のように他国の映像を見て分析。五輪前のネーションズリーグ(NL)1次リーグでは五輪のシードを意識し、日本は過去最高の世界ランク2位に浮上し、強豪との対戦が少なくなるポット1入り。NL決勝大会は「大舞台の経験」を求めて決勝進出を掲げ、有言実行の初の銀メダル。全てを五輪に向けて積み上げてきた。

 時差調整のため、開幕12日前に日本を離れ、ポーランドで事前合宿。高さとパワーのあるドイツを想定し、同じ強力な攻撃陣を持つ世界ランク1位のポーランドと強化試合を行い、3―2で競り勝った。石川主将が「NLで出た課題を解消できた」と語るように、勝敗以上に相手の角度のあるサーブに対するレシーブ、クイックを使った攻撃に対するブロック守備の連係で自信を深めてきた。パリでは海外の選手の高さに合わせたサーブのマシンも使い、レシーブを徹底強化してきた。

 17年にブラン氏が日本のコーチに就任して8季目。東京五輪から12人中8人が残り、成長してきた。以前、「有望な若手の育成」への意識が強く「一緒に成長」することを指導で重要視していることを聞いた。東京五輪後に経験を積ませるため、最年少だった高橋藍に海外挑戦を勧めた。藍も「今のバレースキルはブラン監督の指導のおかげ」と話し3年後、石川と共に日本を引っ張る存在となった。パリ五輪はブラン監督の母国・フランスでの開催で思いも強い。用意周到な指揮官が、日本を27日朝からロケットスタートへ導く。(宮下 京香)

 ◆ドイツ 世界ランク11位。昨秋の五輪予選を組で全勝突破し、勢いに乗るチームだ。身長201センチで39歳のオポジット、グロゼルの強烈なサーブとスパイクは脅威。石川も「グロゼル選手にボールが集まって、それを決められると向こうの流れになってしまう」と警戒する。アウトサイドヒッターのブランドや高さのあるクイック攻撃も注意が必要。