蹴球放浪家・後藤健生にとって、体は資本である。その大事な商売道具をしっかり気遣うことも、仕事の一環だ。たとえば旅先で朝食を取るか否か、その経験の積み重ねも、現在の蹴球放浪家を形作っているのだ。 ■脅威がひとまず去って「ホテル代」高騰 皆…
蹴球放浪家・後藤健生にとって、体は資本である。その大事な商売道具をしっかり気遣うことも、仕事の一環だ。たとえば旅先で朝食を取るか否か、その経験の積み重ねも、現在の蹴球放浪家を形作っているのだ。
■脅威がひとまず去って「ホテル代」高騰
皆さん、ホテルに泊まったとき、朝食はどうしていますか?
2020年に発生した新型コロナウイルスによるパンデミック……。Jリーグが中断し、再開してからも無観客試合が行われたり、声出し応援ができなかったり……。パリ・オリンピックも開幕しましたが、3年前の東京大会の映像が映るたびに当時のことが思い起こされます。
コロナ禍でうれしかったことと言ったら変ですが、どこに行ってもホテルの料金が安かったことです(旅行業界の方々に申し訳ないのですが)。海外旅行ができなくなってしまったのは残念でしたが、おかげさまで国内旅行を大いに楽しませてもらいました。
さて、コロナウイルスの脅威がひとまず去って、訪日観光客の数も2019年以前を超えるまでに回復。ホテル代は高騰していますが、早めにホテルを予約することで(キャンセル可のホテルを予約しましょう)安いホテルを確保することは今でも可能です。
■素泊まり4000円で朝食「1000円」!?
さて、1泊4000円台のホテルに素泊まりで泊まることができたとします。ホテルに到着して、「ご朝食はどうなさいます?」と尋ねられることもよくあります。
一応、確かめてみます。「おいくら?」
たいてい、800円程度。1000円という場合もあります。
努力して、ようやく素泊まり4000円台のホテルを予約したのに、どうして朝食に1000円も払わねばならんのか!」と突っ込みたくなるのは僕だけではないはずです。
ビジネスホテルの朝食なんて、どうせトーストに目玉焼き、コーヒー程度でしょ?
そもそも、朝食込みの場合でも、僕は朝食はパスすることが多いのです。
朝、ホテルで目を覚ましてから、出発前はゆっくりしていたいのです。安いホテルではだいたい10時チェックアウトですから、それまではなるべく部屋でダラダラしています。それなのに、朝食のために着替えをして、1階まで下りていくのは面倒きわまりないというわけです。裸のままとか、パジャマのままでは、やはりまずいでしょうからね。
ですから、基本的には僕はホテルの朝食は食べません。前の晩にコンビニでおにぎりかなんかを買っておいて部屋で食べることもありますし、10時チェックアウトの後、朝昼兼用で済ませることもあります。
■藤枝ビジネスホテルの「朝バイキング」
朝食を食べるのは、そのホテルの朝食が(わざわざ着替えをして、あるいは料金を払ってでも)食べに行くのに値するほど美味しいときだけです。
「美味しいかどうか、どうやって分かるんだい?」という疑問はごもっともですが、これは勘のようなもの。勘が外れたら、そのホテルでは二度と朝食は食べません。
たとえば、静岡県の藤枝市にある某ビジネスホテル。
静岡県では毎年夏に年代別日本代表が出場するSBSカップという大会が行われていますが、藤枝で試合があった夜には、ここに泊まることにしています。
朝食は有料ですが、バイキング形式でアジやサバなどの焼き魚や釜揚げしらす、おでんといった静岡の名物が並んでいて、とても美味しい和式の朝食なのです。ここに泊まるときは、むしろ朝ごはんを食べるのが楽しみになります。
20年ほど前に、タイのバンコクに行ったときによく泊まったホテルの朝食のお粥も、大変に美味でした。
「エラワンの祠(ほこら)」というのをご存じでしょうか? 高級ホテル、グランド・ハイヤット・エラワンの敷地内にあるヒンズー教のブラフマー神を祀る祠なのですが、いつも大勢の人が参拝し、奉納のために踊り子が踊っています。
周囲は高級ホテルや高級百貨店が建ち並ぶ地域なので、日本人観光客もよく立ち寄ります。
そんな高級ホテルが建ち並ぶその一角に、昔、「サイアム・オーキッド・イン」という安ホテルがあったのです。そして、そこで朝食に出されるお粥は絶品でした。ですから、ふだんは朝食パスの僕も、ここに泊まったときは必ずお粥を食べに行ったものです。というより、お粥が食べたいので、このホテルを選んで泊まっていました(「蹴球放浪記」第35回「バンコクで電話工事」の巻参照)。