（26日、第106回全国高校野球選手権京都大会準決勝 京都外大西10―3鳥羽） タイブレークの延長十回裏、鳥羽はサヨナラのチャンスを作った。1死満塁、フルカウント。打者の打球はショートの正面へ。ホームからファーストに送られ、ダブルプレー。…
（26日、第106回全国高校野球選手権京都大会準決勝 京都外大西10―3鳥羽）
タイブレークの延長十回裏、鳥羽はサヨナラのチャンスを作った。1死満塁、フルカウント。打者の打球はショートの正面へ。ホームからファーストに送られ、ダブルプレー。
次打者席で見守っていたのはエースの大西航平さん（3年）だ。盛り上がりをみせる相手ベンチを見ることなく、再びマウンドに上がった。
直後の十一回表、無死満塁とされ、味方の失策で勝ち越しを許した。それでも「最少失点でベンチに戻る」ことだけを考え、腕を振った。しかし、安打やボークなどで、この回に7点を失った。
試合後、「情けなく終わってしまった。あの回だけは悔いが残ります」と涙を流した。
鳥羽は、2人のサウスポーが引っ張ってきた。1人は大西さん。キレのある直球が魅力だ。1年から夏のマウンドを経験し、昨夏から背番号1をつける。もう1人は、スライダーが武器の坂元大悟さん（同）。タイプの異なる両左腕は互いをライバルと認める。
この試合、坂元さんが先発した。勝ち越しを許した七回表2死二、三塁のピンチで、大西さんがマウンドへ。坂元さんは左手に持ったボールを大西さんのグラブに入れた。「あとは任せたぞ」
大西さんは、迎えた打者を一ゴロに打ち取り、雄たけびをあげた。「背番号1をつけている限り、抑えないといけなかった」
9年ぶりの夏の甲子園はかなわなかったが、試合後、大西さんは言った。「ここまで来られたのは坂元のおかげです」。坂元さんは「大西がいたからここまで頑張れました」と、よきライバルをたたえた。（木子慎太郎）
