(26日、全国高校野球選手権宮崎大会決勝 宮崎商4―3富島) 「絶対ここでとる!」「全員でだ!」。宮崎商の三塁側ベンチから、大声が響いた直後だった。 同点で迎えた九回表無死三塁、打席へ向かったのは谷口真主将(3年)。「自分が決める」と思っ…

 (26日、全国高校野球選手権宮崎大会決勝 宮崎商4―3富島)

 「絶対ここでとる!」「全員でだ!」。宮崎商の三塁側ベンチから、大声が響いた直後だった。

 同点で迎えた九回表無死三塁、打席へ向かったのは谷口真主将(3年)。「自分が決める」と思ったが、すぐ切り替えた。「とにかく1点欲しい場面。最低でも犠牲フライだ」。1ボールからの2球目。外角寄りの直球を素直にはじき返し中堅へ。甲子園をたぐり寄せる勝ち越しの犠飛となった。

 中学生だった2021年、粘り強い野球で宮崎大会優勝を決めた宮崎商を見て「宮商」で甲子園へ行こうと決めた。当時の先輩たちは甲子園への切符をつかみながらも、コロナ禍に見舞われ、夢舞台でのプレーができなかった。

 今春の県大会を制したが、自身は5月に足首をねんざし、6月中旬まで試合に出られなかった。それでも「(甲子園で)試合をすることもできなかった先輩たちの思い」を背負い、悔しさをこらえた。

 筋力トレーニングに練習のサポート、その時できることに専念すると、周囲がよく見えるようになった。グラウンド整備も練習も学校生活も、「日々しっかりやりきっているのか」と。

 この日、先制の2点本塁打を放った甲斐夢都選手(同)が、自主練習に早朝から集中してきたことをよく知っていた。だから大事な場面での一打は「あの努力があったからだ」と思った。

 朝晩の自主練習も、「甲子園で勝つ」という目標のためにやってきた。「3年前」をきっかけに集った仲間たちと、先輩たちがかなわなかった甲子園での「勝ち」を、もぎとりにいく。(奥正光)