(26日、第106回全国高校野球選手権西東京大会準決勝 早稲田実14―3日大二) 9年ぶりの夏の甲子園を目指す早稲田実のエースは、2年生左腕の中村心大(こうだい)だ。26日の準決勝では落ち着いた投球で、勝利に貢献した。 14―1と大量リード…

(26日、第106回全国高校野球選手権西東京大会準決勝 早稲田実14―3日大二)

 9年ぶりの夏の甲子園を目指す早稲田実のエースは、2年生左腕の中村心大(こうだい)だ。26日の準決勝では落ち着いた投球で、勝利に貢献した。

 14―1と大量リードで迎えた五回裏、この試合初めて連打を浴びた。2点を返され、なおも2死三塁。日大二の粘りに沸き立つスタンド。だが、中村は動揺をみせず、内野ゴロに打ち取り、試合を終わらせた。「精神的に強くなったかな」

 背番号「1」をもらったのはこの夏の大会が初めて。球速を上げるため、ウエイトトレーニングや走り込みに励んできた。3月末にひじを痛めたが、6月に復帰すると球速がアップ。いまでは最速145㌔の速球が投げられるようになった。

 課題は精神面だった。3回戦の明大八王子戦、四回、ストライクが入らず、連続四死球。自身の失策などもあり一挙3失点。タイブレークに持ち込まれた。

 準々決勝の国学院久我山戦でも五回、連打を浴びて4失点し降板。七回、6点のリードを徐々に縮められる展開の中、再登板すると相手側スタンドの声援にのまれ、4連続四球を与えた。

 だが、準決勝は違った。直球中心だった前の試合から一転、変化球を使ってバランスよく投げることで、打者に的を絞らせないよう意識した。「想像以上に球威があって対応できなかった」「変化球も速くてキレがあった」(日大二の打者)と四回まで1失点。五回のピンチも、今度は踏ん張った。

 次は甲子園出場がかかる決勝。中村は「今度こそチームの力になりたい」。今大会、苦しい場面で、先輩たちから「落ち着いて」「楽に」と声をかけてもらってきた。決勝の目標は無失点。先輩たちへの恩返しの試合にするつもりだ。=神宮(西田有里)