パリ五輪からの辞退を発表したデュジャルダン。(C)Getty Images パリ五輪の開幕を目前に明るみになった一大スキャンダルは、当該競技の在り方も問うものとなっている。 物議を醸しているのは、五輪において過去3大会で金メダル3個を含む計…
パリ五輪からの辞退を発表したデュジャルダン。(C)Getty Images
パリ五輪の開幕を目前に明るみになった一大スキャンダルは、当該競技の在り方も問うものとなっている。
物議を醸しているのは、五輪において過去3大会で金メダル3個を含む計メダル6個を獲得した実績を持つ馬術のシャーロット・デュジャルダン(英国)の“蛮行”だ。現地時間7月23日に後輩を指導していた彼女が馬を虐待する動画が流出。同日中にパリ五輪出場を辞退したのである。
【動画】あまりにひどい…デュジャルダンが1分間に25回、馬にムチを打っていたとされる動画
国際舞台での実績もあり、カリスマ的存在だったデュジャルダン。おそらく誰もが彼女は馬を愛し、敬意を持っていたと思っていた。ゆえに1分間に25回も馬に鞭を打つショッキングな映像は衝撃を呼ぶとともに、馬術界への“逆風”を強めるキッカケとなった。
ドイツの日刊紙『Bild』は「動物はスポーツの道具ではない」と銘打った厳しい論説を展開。衝撃的だったデュジャルダンの“虐待映像”を「あまりに恐ろしく、オリンピック王者として恥ずべき行動だ」と糾弾した。
また、同紙は、21年に国際近代五種連合が競技種目から馬術を除外した背景をふまえ、「112年の時が経ってもオリンピックで行われていることがどうかしている」と指摘。動物愛護の観点からオリンピック種目からも同競技を外すことを検討すべきという意見を展開している。
実際、オリンピックにおける馬術に対する厳しい意見は21年の東京五輪でもあった。近代五種女子に出場していたドイツのアニカ・シュロイの騎乗した馬が障害の飛越を拒否。この際に「馬を叩け」と指示したキム・ライスナーコーチが自らの拳で殴っている様子が映像によって記録され、国際的な批判を受けた。
相次ぐ不祥事を目の当たりにした『Bild』は「騎手には選択肢があるが、馬には選択はない。従うしかない」と断言。さらに「名声や名誉、金銭的に危機に瀕したとき、動物は人間の野心に苦しむ」とも論じている。
貴族のスポーツとして親しまれてきた馬術。そんな業界のスター選手のふさわしくない行為に厳しい目が向けられている。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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