【パリ(26日)=大谷翔太】パリ五輪が現地時間夜、開会式を迎える。2大会ぶりに個人種目に挑む池江璃花子(横浜ゴム)らが出場する競泳日本代表は、翌27日が初日。選手らは連日、本番プールのラデファンス・アリーナで調整を行っている。現地のラグビ…

 【パリ(26日)=大谷翔太】パリ五輪が現地時間夜、開会式を迎える。2大会ぶりに個人種目に挑む池江璃花子(横浜ゴム)らが出場する競泳日本代表は、翌27日が初日。選手らは連日、本番プールのラデファンス・アリーナで調整を行っている。現地のラグビーチームの本拠地でもある施設に仮設で作られたプールは、今五輪のテーマの一つでもある「サステナブル」な仕様となっている。

 23日に初めて本番会場で泳いだ日本選手らは、飛び込んだ瞬間に驚いたと言う。男子個人メドレーの松下知之(東洋大)は「飛び込んだら、急に水底だったのでビックリした」。現地の関係者によれば、今大会の水深は2・2メートル。21年東京五輪が行われた東京アクアティクスセンターなど、近年は五輪や世界選手権が行われる公式プールは、水深3・0メートルが多い。“国際規格”より80センチ浅いプールを選手らは事前に知らされておらず、実際に泳いでみて初めて知った形となった。

 ではルール上、2・2メートルプールは問題はないのか。世界水連の現行基準では、五輪規模の競泳プールは最低水深が「2・5メートル」と決められている。だがこれは、23年1月に施行されたもの。「パリでの五輪開催が決まった時(2017年)、施設は水深2・2メートルのプールが認められる以前のレギュレーションのもと、承認された」というのが世界水連の見解だ。

 水深が浅いプールでは、波が立ちやすくなるのでは、と懸念される。この点についても、世界水連はいくつかの数値流体力学試験を過去に行ったとした上で「2メートルプールと3メートルプールで、パフォーマンスに差はない」としている。更に「水深を減らすことで、節水とエネルギー消費の節約につながる(よりサステナブル)。そしてラデファンス・アリーナにより多くの観客席を設置することができる」と、環境への配慮も一因にあることを明かした。

 日本選手にとっては多少、出ばなをくじかれた形だが、男子個人メドレーの瀬戸大也(CHARIS)は「辰巳みたい」と、かつての競泳の聖地で、水深2メートルだった東京・辰巳国際水泳場を引き合いに問題がないことを示唆。池江も初練習後は、「浅い方が(底が近く)速く泳いでいる感覚になる。泳いでいるうちに慣れてきて、深さは気にならなくなった」と前向きに語っていた。パリでは「金を含む複数メダル」に挑む競泳ニッポン。27日午後6時(日本時間)から、初日の予選が始まる。