「大相撲名古屋場所・12日目」(25日、ドルフィンズアリーナ) 大関同士の3敗対決は、豊昇龍が琴桜を首投げで制し、9勝目を挙げた。昨年初優勝を飾って大関昇進を決めた名古屋の地で、優勝争いに踏みとどまった。単独トップの横綱照ノ富士は関脇阿炎…

 「大相撲名古屋場所・12日目」(25日、ドルフィンズアリーナ)

 大関同士の3敗対決は、豊昇龍が琴桜を首投げで制し、9勝目を挙げた。昨年初優勝を飾って大関昇進を決めた名古屋の地で、優勝争いに踏みとどまった。単独トップの横綱照ノ富士は関脇阿炎を寄り切って1敗堅守。3敗は豊昇龍、平幕隆の勝と美ノ海の3人に絞られ、13日目に照ノ富士が勝ち、3敗の3人がいずれも敗れれば、照ノ富士の3場所ぶり10回目の優勝が決まる。かど番の貴景勝は関脇大の里に屈して7敗目。大関陥落へ後がなくなった。

 ここ一番での勝負強さは抜群だ。極限まで集中力を研ぎ澄ました豊昇龍は、大ピンチにも冷静だった。琴桜にすぐもろ差しを許して寄られたが、右足を相手の左足に絡めながら右腕で首を抱え込んでの首投げ。5歳から習っていた柔道ばりの大技で裏返しにした。

 「絶対差されないようにと思ったけど失敗した。そこで慌てずに自分の相撲をとれてよかった」。内容を反省する一方で、瞬時の反応には胸を張った。琴桜戦は昨年夏場所までの10連勝から一転、5連敗していた。「去年の名古屋からずっと負けているから、今日こそは集中していこうと思った。勝ってよかった」と眼光鋭く胸の内を吐露。一度スイッチが入った時の無類の強さは、叔父の元横綱朝青龍をほうふつとさせる大きな武器だ。

 照ノ富士を2差で追って残り3日。「強いね。横綱」とうなった。それでも、直接対決を残している。昨年は初賜杯と大関を一気に手にしたゲンのいい名古屋。「しっかり一日一番集中して。それだけです」とやることは一つ。最後まで諦めず、逆転Vの可能性を探る。